元講談社最高顧問 服部敏幸
野間道場は今年で76年の歴史をもつにいたりましたが、 初代社長、 野間清治は 「剣の妙味を悟るならば、 剣道のすべてが真の人間完成につながる。 それゆえ、 道場には哲学があり倫理がある」 と説かれ、 剣道を率先して奨励されました。
当時の剣道界は派閥意識が強く、 他の道場にいって稽古することはまれだったのですが、 野間社長はそうした派閥を越えた大きな心で、 野間道場を日本中の剣士に開放されたのです。
持田盛二先生を野間道場に師範として招かれてからは、 ますます隆盛を極め、 昭和9年には野間社長の御子息、 恒さん (二代目社長) が天覧試合に優勝、 昭和15年には増田真助師範と講談社社員の望月正房君が優勝という大偉業を成し遂げました。 また、 各種団体戦でも恒さん、 そして昭和の小天狗といわれた森寅雄さんを中心に望月君や私なども出場して、 破竹の連戦連勝で、 まさに野間道場の黄金時代でした。
戦後はGHQの指令で剣道は中止され、 野間道場も一時中断しましたが、 野間省一社長の御理解のもとに、 昭和37年の秋から、 持田盛二先生を中心に、 伝統ある朝稽古が再開されたのです。 現在では森島健男範士九段を師範に道好会の鏑木会長が中心となって、 毎朝7時より8時まで、 休むことなく激しく厳しい稽古が行われております。
近年、 青少年の間で剣道熱はますます高まってきております。 冒頭の初代野間社長の説かれるように、 剣道は一生涯やれる武道であり、 人間形成のための修養の武道でもありますから、 大いに奨励すべきものでしょう。
伝統ある野間道場より、 次代をになう立派な剣道家が、 またその指導者が続々と輩出し、 日本の、 そして世界の剣道界発展のために、 少しでもお役に立てればと心から念じております。
(全国学校剣道連盟副会長、 剣道範士)