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1980.07.08発売
原爆の図
講談社文庫
1945年8月6日、原爆投下。3日後、広島に帰った画家は、現代の地獄図絵を目撃する。「原爆の図」は、画家が二十数年をかけ完成した畢生の大作であり、世界の多くの人々に深い衝撃をよびおこしたのだった。本書収録のこの作品の全貌を通じて、私たちは、平和と人間愛への祈念をさらに新たにしてゆきたいと思う。

1980.06.18発売
ジャンボジェットはどう飛ぶか ボーイング747のメカニズムを楽しむ
ブルーバックス
飛ベジャンボ!
ジャンボは大きな翼をいっぱいに広げ、ゆっくりと滑走路の中心に正対して停止する。一瞬、冷たい静寂が漂う。いままさに、操縦室(コックピット)も緊張の一瞬に違いない……管制塔より離陸許可(テイクオフ)が出た。と同時に、四基のターボファン・エンジンは全開される。推力84トンのパワーが巨体をぐんぐん加速させてゆく。10秒、20秒、30秒……。右席の副操縦士がすばやく「ブイ・ワン!」(臨界点速度)を機長に告げる。そして「ロー テート!」。その瞬間、機首はぐんと大空を向く。いま、ジャンボの離陸の瞬間である。

1980.06.17発売
1973年のピンボール
文芸(単行本)
僕たちの終章はピンボールで始まった。雨の匂い、古いスタン・ゲッツ、そしてピンボール……青春の彷徨は、序章もなく本章もなく、いま、終わりの時を迎える。新鋭の知的で爽やかな’80年代の文学。
この倉庫での彼女(ピンボール)との邂逅場面の清潔な甘美さと知的なセンチメンタリズムは上等でとても筆舌に尽くし難い。さらに重要なのは、〈僕〉がその体内にとりこんだピンボール・マシン=外国との、やさしく堂々とした結着のつけ方である。希望、絶望、おごり、へつらいなど、いかなる色眼鏡もなく、この20世紀のコッペリアと一体化し、そして突き離しながら、〈僕〉は、自分と彼女がどう関わり合っているかをたしかめる。こうして〈僕〉はゆっくりとした歩調を保ちながらなにものかになって行くのだ。主人公が海外渡航しない「海外渡航小説」の、これはみごとな収穫といえるだろう。──井上ひさし(朝日新聞文芸時評より)

1980.06.12発売
トルコ日記
講談社文庫
芥川賞作家から官能小説作家へと進んだ大ベテランが、ソープランドに就職した童貞ボーイにつぎつぎと起こるハプニングの連続をユーモラスな筆致と色香で綴る官能長篇ーー就職口がなくて、ボクは毎日、就職ニュースを読んでいたんだ、と、ボイラーマン募集、好遇、という三行広告が目に入って、張りきって出かけて行ったんだ……。ところが行った先はソープランド。毎日毎日、最低5人のノルマでソープ嬢の技術向上の実験台をさせられたり、新規入店の主婦アルバイトの美人を指導したり、そのうえ、スカウト係に任命されて田舎娘の初体験の相手までして、体がいくつあっても足りないくらい忙しい。ボクはチン上げを要求したいくらいだ……。
(注)現在ではソープランドと呼ばれている特殊浴場を昔は皆がトルコ風呂と呼んでいました。本作ではその時代を表す意味でも文学性からも昔のママの表現を使っております。

1980.06.12発売
女体育教師
講談社文庫
芥川賞作家から官能小説作家へと進んだ大ベテランが、女体育教師の生態をユーモラスに描いた「あたし」小説ーーあたし、女子体育短大を出たばかりなんです。腕も腿も健康に張りきった、ピチピチの19歳なんです。就職難で卒業後、半年待機させられたけど、都下の中学・高校併設校に勤務することになったんです。でも、体育の先生って思っていたより、ずっと大変。保健体育の授業で、マセタ女生徒たち相手に男性自身を黒板に図解させられたり、体育館で何人もの男の先生たちに床(ユカ)運動ならぬ床(トコ)運動の特訓をさせられたり、結構、勤務はキビシイ。でも、ウブだったあたしも、おかげで女としてだんだん成熟してゆくみたい……。

1980.06.11発売
南の島の魔法の話
講談社文庫
電灯が消えてまっくら闇の中におかれた青年が、ろうそくの妖精の声にさそわれて、翻訳中のふしぎな物語の世界に入っていく「南の島の魔法の話」。愛の悲哀を抒情的に展開した、日本児童文学者協会新人賞受賞作「さんしょっ子」。また「鳥」「きつねの窓」など、鋭い洞察力と鮮やかなイメージで人生の真実をえがいた、ファンタジー童話12編を収録。

1980.06.11発売
地を潤すもの
講談社文庫
住民虐殺の戦犯として処刑された弟。30年後のいま、兄は弟の生を見直してみようと、墓参りの旅に出る。タイからマレー半島を下りシンガポールへ。虐殺現場、刑死した刑務所、そして墓地――弟ゆかりの場所を訪ねていくうち、事件の意外な真相が現われる。戦争を題材に、人間の生と死の意味を問う問題作。

1980.06.10発売
空白の起点
講談社文庫

1980.06.10発売
波まくらいくたびぞ 悲劇の提督・南雲忠一中将
講談社文庫
機動部隊司令官として南雲忠一が戦果を挙げた真珠湾攻撃でも、長官・山本五十六を高名にしたものの、南雲への評価は低かった。そして、近代海戦の始まりといわれるミッドウェーでは、南雲に敗戦の責めが負わされる。だが、ここでも英雄は、墜死した山本五十六であった。南雲に対する偏見を正すべく、真実凝視を意図した、著者の一大労作。
機動部隊司令官として、真珠湾攻撃で戦果を挙げた南雲忠一。だが、名声を高めたのは長官山本五十六のみで、南雲への評価は低い。そしてミッドウエー敗退の責をかぶる。真の南雲忠一像を追った珠玉の労作。

1980.06.10発売
風の絵本
講談社文庫
色のあわい日常生活を、風のように流されていく郁子。ふと郁子は日常をぬけ出して旅に出る。いわば<風の絵本>のヒロインである。彼女の目の前に次々とあらわれるのは、時間のひだにかくされていたいくつかの思い出――。知的女性のゆれる心理を、実験的な手法と新鮮な矜情とで描いた秀作。その他二編収録。(講談社文庫)
色のあわい日常生活を、風のように流されていく郁子。ふと郁子は日常をぬけ出して旅に出る。いわば<風の絵本>のヒロインである。彼女の目の前に次々とあらわれるのは、時間のひだにかくされていたいくつかの思い出――。知的女性のゆれる心理を、実験的な手法と新鮮な矜情とで描いた秀作。その他二編収録。

1980.06.10発売
彼の初恋
講談社文庫
少年のころ、憎悪の対象であった父親は、いま、好々爺をきめこんでいる。勝手に人生を引退させるものか……。父親を超えていくための息子の格闘を描いた「親父の年頃」、友人の恋愛問題に絡んで奇妙な友情と人間関係をみせる表題作など、青春の苦渋と爽快さを清新な感覚で描いた作品集。他に「光る丘」「野性」「雷魚」を収録。

1980.06.10発売
ぼくたちの洋行
講談社文庫
敗戦国・日本をあとに、初めての留学生として、意気揚々とフランス船に乗り込んだのだったが……。4人の留学生の直面した現実を描いた表題作。死の臭気が漂う青春時代に、愛国心への疑問を抱いた青年を描く「入営の日」、芸術家の娘を持った父親の孤独を描く「父親」のほか、「あわれな留学生」「ピエタの像」「弟と犬」「終戦記念日」「ナザレの海」「鏡」「老いの岸辺」。人間心理の襞に触れる、感動の10名篇を収録。

1980.06.09発売
類語の辞典(下)
講談社学術文庫
収録語例【酒】竹葉(ちくよう)、玉友(ぎょくゆう)、甘波(かんぱ)、花露(かろ)、雲泉(うんせん)、香泉(こうせん)、春蟻(しゅんぎ)、黄雲(こううん)、杏村(きょうそん)、天乳(てんにゅう)、如華(じょか)、白玉(はくぎょく)、真一(しんいつ)、忘憂(ぼうゆう)、洞庭春(どうていしゅん)、慶雲香(けいうんこう)、養生主(ようじょうしゅ)、大平君子(たいへいくんし)など、約200の類語を収録。さらに157項目にわたって、地酒(じざけ)、雪見酒(ゆきみざけ)、古酒(こしゅ)、錦絲主(きんししゅ)、菊酒(きくざけ)、菖蒲酒(しょうぶしゅ)、薄荷酒(はっかしゅ)、清白酒(せいはくしゅ)、拳酒(けんざけ)、黒酒(くろき)、聞酒(ききざけ)、延命酒(えんめいしゅ)、礼酒(れいしゅ)、など、酒にまつわる各種用語を分類・解説する。古語・俗語・方言・敬語・美称・謙称をあまねく網羅し、語彙・文章表現力が飛躍的に高まる。

1980.06.09発売
類語の辞典(上)
講談社学術文庫
本書は、明治42年に初版発行、昭和49年に小社より復刻刊行した『日本類語大辞典』を、そのままの内容で上下2巻に分かち、学術文庫に収録するものである。本書は、我が国における「類語辞典」の嚆矢としての名誉を担うばかりでなく、質量ともに空前絶後、今日なおこれを凌ぐ「類語辞典」は世に出ていない。豊富な語彙とすぐれた解説は、現代語と鮮明度の限界を補って余りあり、今後も決して生命を失うことのない名辞典である。

1980.06.06発売
明治維新と日本人
講談社学術文庫
幕末明治の日本人は、襲いかかる西洋文明の大波に、どう対応したのだろうか。また、欧米列強に伍して国を立ち行かせるために、どう苦心したのだろうか。著者は、“比較文化”という視点から明治日本の「近代化」現象を透視し、清新な史眼と溌刺たる文体とによって、幕末維新史の類(たぐい)稀れな見取図を描き出すことに成功した。ことに維新・「近代化」の根源に、幕末明治日本人の「『内発的』な要請」を見出し、論証し、従来の通説を一歩深めた。

1980.05.20発売
ドラマ人間テレビ語り
文芸(単行本)
朝丘ルリ子、美空ひばり、松本清張ら有名人から、技術・演技・取材などまで、ドラマ作り27年の現場から、NHKの和田勉が語る、テレビジョンのおはなし。
◎「和田勉のことーーNHKに電話して、所属部課名を云わずに名前だけでただちに交換台に通じるのは、おそらく会長以外は和田勉のみであろう。彼がNHKの顏だというのをいつも感じる。ドラマつくりの名人、「賞男」というのが和田勉のラベルだが、この記には長い演出生活での折々の寸感や登場人物との躍動したふれあいがある。天衣無縫な彼の言動の中に、かくも鋭く繊細にして、皮肉な観察の「演出家の手帖」があろうとは!」<松本清張「帯文」>

1980.05.13発売
名探偵が多すぎる
講談社文庫
別府航路の船上で一堂に会した世界の名探偵、メグレ、クイーン、ポワロ、明智の4人に、かのルパンから届いた挑戦状。ルパン対4人虚々実々の対決はかくして幕をあけるが、ルパンに狙われた宝石商は鍵のかかった船室で殺害され、宝石も奪われる。ルパンは密室殺人で4人に挑戦してきたのか。会心パロディ。

1980.05.12発売
兇悪の炎
講談社文庫
泣く子も黙る鬼警視=特捜部長の矢部に、脅迫電話がかかった。捜査四課のやるべき仕事=暴力団取締りにまで手を出すな、というのだ。矢部は部下の会田に、暴力団・柳井組を探らせていた。柳井組は強力な武器を確保し、勢力を着々と拡大している。ハミ出し刑事・会田の任務は、その武器の入手経路を洗うことだった。不敵な挑戦に、非情のライセンスを持つ男の怒りが爆発する、ハードボイルドの不朽の名作。「非情のライセンス」としてTVドラマ化された「兇悪」シリーズ。

1980.05.12発売
FL無宿の叛逆
講談社文庫
外国(Foreign)の言語(Language)または文学(Literature)を専攻した大学中退者が集まって考え出した、奇妙な商売の数々。主観的には魂の放浪者であり、客観的にはヒッピーである彼らの行動は、アイディアの優秀さとうらはらに、いつも現実からしっぺ返しをくらう――。ユニークに若者の一面をとらえた、出世作。

1980.05.12発売
人間を売る(下)
講談社文庫
急成長のひずみか、章子は資金繰りにいきづまり、会社を乗っ取られる。津野木も昔の恋人に毒殺され、あえない最期をとげる。「人間」を売るごとき行為の因果か……。利欲のために変貌した女実業家と、彼女を操って野望をとげようとした男の悲劇。大阪の実業界を舞台に、人間の欲望と孤独、弱さと醜さをえぐった会心の長編。<上下巻>