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1980.05.12発売
人間を売る(上)
講談社文庫
友人に紹介された津野木の助力を得て、斎田章子は女実業家に転身した。野心家の男たちに伍して燃えあがる熱意と自信。その美貌と魅惑的な肉体を武器に販路を拡張していく。一方、酷薄で計算高い津野木は、ある陰謀を胸に秘め、協力者の面をかぶって章子を煽る。章子は津野木の思いどおりに変貌していくのだが……。<上下巻>

1980.05.12発売
我が父たち
講談社文庫
51年田村俊子賞、52年泉鏡花文学賞、53年女流文学賞、54年野間文芸新人賞を受賞し、鮮烈に飛翔する女流新鋭の資質と才華を示す中編小説集。父たちの違う未婚の姉妹を中心に、母系家族の心の心のかげりを精妙に描く表題作と、宿命的な血縁の重さを、鋭い感覚と豊かなイメージでとらえ、独自の世界をひらく秀作2編。(講談社文庫)
51年田村俊子賞、52年泉鏡花文学賞、53年女流文学賞、54年野間文芸新人賞を受賞し、鮮烈に飛翔する女流新鋭の資質と才華を示す中編小説集。父たちの違う未婚の姉妹を中心に、母系家族の心の心のかげりを精妙に描く表題作と、宿命的な血縁の重さを、鋭い感覚と豊かなイメージでとらえ、独自の世界をひらく秀作2編。

1980.05.09発売
立体化学入門
自分で理解度を判断しながら、立体化学の初歩から立体区別反応の入り口まで学習できるユニークな形式と内容をもった入門書。有機化学を学びはじめた学生にとっての最初の難関を突破し、マスターするための絶好の助っ人。

1980.05.09発売
石膏色と赤
講談社文庫
坂の向うの空で沈みかけていた、大きな夕日。また、鈍い白い光が漂うその下にあった、夕暮の野原。幼年期に見た、この赤と白のふたつの夕暮とは、何だったのだろう? 幼年期から成年期にかけて想起された心象風景や体験、あるいは人々の印象などを、独得の感性と語り口で構成した、余韻ゆたかな好エッセイ集。

1980.05.08発売
中国思想
講談社学術文庫
本書は、中国哲学を論ずるに西洋哲学の方法をとり入れ、漢学の再構成を試みた著者が、上古より清朝末にいたる中国思想の大要を、極めて平易簡明に叙述した。劃期的な名著。なかんずく、清朝における学術思想の変遷が、いかに暗々裏に清朝の滅亡を招き、共和政体の建設をなすにいたらしめたるか、という歴史的考察は、学問思想が一見したところ、社会とは無関係のようでありながら、実は重要な関係にあることを指摘したものといえよう。

1980.05.08発売
中国古代の民俗
講談社学術文庫
魯迅の弟、周作人に始まる中国の民俗学研究の歴史は浅く、研究方法もいまだ模索の段階にある。本書は「古代文字の構造を通じて考えられる古代人の生活と思惟、古代歌謡としての詩篇の発想と表現とを通じてみられる生活習俗のありかた、そしてそれによってえられたところのものをわが国の古代の民俗的な事実と対応させながら比較」考察するという3つの方法をもって、未開拓の中国民俗学研究という分野に正面から取組んだ労作である。

1980.05.08発売
日本人の言霊思想
講談社学術文庫
古代の人は言葉に精霊が宿ると信じ、霊妙な力が人の幸不幸を左右すると考えた。これらの痕跡を、文献・伝承等に探り、祝詞の言霊・万葉人の言霊・仏教の言霊・名に宿る精霊・近世国学者の言霊観などの諸相に捉え、「言事融即」の観点から精細に考察する。外からの押付け言語政策、民族語のもつ母語固有の言霊、自国憲法に言語規定をもつ諸国、言語不信をかこつ言論、汎言語主義の病弊など、爼上に究明して言霊思想の回帰点に及ぶ。

1980.05.08発売
近世日本国民史 西南の役(四)
講談社学術文庫
今般政府へ尋問の筋これ有り! 西郷は刺客事件を名分として遂に立った。自ら手を拱して、官兵の来討を待つか、進んで我自ら蹶起するか。弾薬奪掠事件により、矢はすでに弦を離れ、砲丸はすでに砲口を飛び出していた。今更、西郷一人が沈吟、狐疑すべき場ではなかった。が、果たして西郷の本意は、私学校党に擁せられたるか、自らの意思でか。史家の公平なる観察は、騎者が犠牲者ならば、虎もまた犠牲者だったと結論する。
今般政府へ尋問の筋これ有り!、明治十年二月、西郷は刺客事件を名分として遂に立った。自ら手を拱して、官兵の来討を待つか、進んで我自ら蹶起するか。弾薬奪掠事件により、矢はすでに弦を離れ、砲丸はすでに砲口を飛び出していた。今更、西郷一人が沈吟、狐疑すべき場ではなかった。が、果たして西郷の本意は、私学校党に擁せられたるか、自らの意思でか。史家の公平なる観察は、騎者が犠牲者ならば、虎もまた犠牲者だったと結論する。

1980.05.08発売
言志四録(3) 言志晩録
講談社学術文庫
第3巻には、「言志晩録」292条をおさめる。佐藤一斎が、67歳より78歳までのおよそ12年間に書き記した文章である。学問修養・倫理道徳から政治法律・風流韻事に至るまで、人間生活のあらゆる局面における身の処し方・心構えが説かれている。政治家も実業家も学者も若者も、それぞれの立場に応じて味読すべき金言の宝庫である。異色の訳注者の手になる現代語訳と解説は、溌刺自在。古典を現代に活き活きと甦えらせた。

1980.04.25発売
「遠野物語」の国へ
柳田国男と佐々木喜善――、2人のふとした出会いから、『遠野物語』という名著が生まれました。かっぱ・天狗・きつね・おおかみ・雪女……。数々のふしぎなものが登場する、岩手県の山おくで語りつがれてきたむかしばなしは、いま、わたしたちに、なにをつたえてくれるでしょう。2人の先人の足跡と、『遠野物語』の世界とを紹介する、たのしくて、ユニークな課外読み物です。小学生上級から。

1980.04.14発売
日本近代美術史論
講談社文庫
秀抜な眼識が捉えた日本近代美術の創生・発展の軌跡……高橋由一・黒田清輝・青木繁・狩野芳崖・フェノロサ・岡倉天心・横山大観・菱田春草・富岡鉄斎・藤島武二・山本芳翠……個々人の内包する諸問題を分析しつつ、近代日本における洋画・日本画の進化・展開の様相を克明に追究した、高階秀爾の力作評論。

1980.04.14発売
天の魚 ―続・苦海浄土―
講談社文庫
「苦海浄土」に続き、魂の詩人・石牟礼道子が、生死のあわいにある人々へむけて綴った、現代の鎮魂の記。ーー豊饒なる不知火海から、天の水と天の魚を奪い生活を破壊し、やがて20数年にわたって人間の命を破壊しさった、世紀の受難というべき水俣公害。ついにチッソと直接交渉を実現、解体する日常との闘いが残された患者漁民の観たものは何か? 「東京の空の美しゅうございました……」は、誰でも望む言葉であって、誰でも云えない言葉になった。80年代の日本の現実、必読の一冊。

1980.04.11発売
でんでんむしの競馬
講談社文庫
でんでんむしで競馬ごっこをして、友だちのおもちゃをとりあげる、ちゃっかり者のタケやんを描いた「でんでんむしの競馬」など、戦前の京都の露地裏を舞台に、貧しくとも元気な子どもたちの生活を、鮮やかに描いて話題をよんだ、連作童話8編。日本児童文学者協会賞・野間児童文芸賞・赤い鳥文学賞・サンケイ児童出版文化賞・厚生省児童福祉文化奨励賞受賞作。

1980.04.11発売
帰らざる復讐者
講談社文庫
タクシー運転手の原田光政は過去の幻影におびえつつ、ある日何者かに惨殺された。娘の季美も犯された上に息絶えていた。息子の青年医師義之は激怒し、見えざる犯人への報復を誓う。季美の許婚者峰岸も同じ思いだった。彼らが凄絶な追跡の果てに到達した敵の巨大な正体は?壮大なスケールの復讐ドラマ。

1980.04.11発売
兇悪の眼
講談社文庫
CMカメラマンの久我が撮ったフィルムに、警察が行方を追っていた麻薬密造人の顔が写っていたのではないか。撮影現場でいわくありげなふたりの男をカメラがとらえていたのだ。会田は久我に身の危険を警告し、フィルムの引き渡しを要請するが、彼は一切を拒否した。会田の予感は的中し、ヤクザ組織のフィルム奪回作戦は秘かに進み、屈強な男たちが現れ久我は窮地に立つ。兇悪に挑む特捜部刑事・会田の怒りが爆発する。汚濁の人間像を活写するハードボイルドの不朽の名作。「非情のライセンス」としてTVドラマ化された「兇悪」シリーズ。

1980.04.11発売
カーラリー殺人事件
講談社文庫
宗谷岬から出発し、佐多岬まで走りつくす、画期的な日本縦断カーラリー。この催しの背後には、さまざまな野望と悪とが、隠されていた。視力に障害を持ちながら、天性の勘と頭脳をもつ田浦二郎は、純粋な競技心で、運転補助者としてラリーに加わる。しかし、故意ともみえる落石事故が襲って……。卓抜な設定による、名手の推理長篇。

1980.04.11発売
続々 今昔物語ふぁんたじあ
講談社文庫
平安時代の人間像を活写して今に残る『今昔物語』。この古典のこころをとらえて、乱世に躍動する平安庶民を現代に再現、地獄にあっても生きるために知恵を発揮する庶民のしたたかさを追う。どんでん返しを利かせたサスペンス・タッチで描く妖異な世界に、ユーモアたっぷりの掌編も織りまぜたシリーズ第3集。

1980.04.11発売
水戸黄門(八)梅里記(下)
講談社文庫
江戸藩邸内にただならぬ動きがあるのを察した水戸のご老公は、愛刀を携えて出府、奸臣・藤井紋太夫をおのが手で討ち果して、お家騒動を未然に防ぎ、水戸家の安泰をはかる……元禄13年、73歳で歿するまで、名君・水戸光冏公の生涯を史実に則りつつ、独自の手法であますところなく描いた長篇力作、完結編。

1980.04.11発売
水戸黄門(七)梅里記(上)
講談社文庫
元禄4年正月、64歳になった光圀は、佐々介三郎らを引きつれ、常陸国西山の山荘に移る。隠居の身となって、大日本史の編纂を続けながら、悠々閑日月を楽しむのではなく、領内を巡視しては民衆と親しみ、たえず天下の政道について鋭く目を光らせる……。悪名高い生類憐憫の令を無視してはばからぬ、水戸黄門の面目躍如。

1980.04.10発売
贈られた女 佐野洋 推理傑作選
講談社文庫
東都新聞R支局の記者、貝塚は市長招待の宴席で不覚にも寝込んでしまい、ことの成り行きで芸妓・染子と一夜をすごしてしまった。ところが翌日、染子は不審な睡眠薬自殺を遂げた。二人の間に何がおこったのか? 他殺の線も棄てきれない。貝塚は市政の汚職事件を追っていたというが、はめられたのか? 表題作他9編の傑作ミステリー短編集。
醜聞にまきこまれた新聞記者を待ち受ける運命の皮肉を描く表題作ほか、「癖の殺人」「消えた診断書」「切り札」「日焼けの跡」「空しい疑惑」「加害者」「割れたガラス」「脅喝者」「重い街」を収録。