
禁酒法=「酒のない社会」の実験
キンシュホウ=サケノナイシャカイノジッケン
- 著: 岡本 勝

「高貴な理想」とは裏腹に、もぐり酒場の隆盛、密輸・密造業者の暗躍をもたらした禁酒法とは。華やかな「ジャズ・エイジ」を背景に問う。
家での密造――調合することすら面倒と考える人には、ワインに変化する葡萄汁があった。カリフォルニア州の葡萄栽培農家の中には、各地へ葡萄をそのまま「フルーツ」としてではなく、葡萄汁やそれを濃縮したものにして送り出す者がいた。ニューヨークでは、それをさらに固形石鹸のように固めたものまでが販売された。農務省がテストした結果、上手に発酵させて寝かしておくと、葡萄汁は60日間ほどで、12パーセント程度のワインに変化することがわかった。農務省の警告を逆手に取った業者は、アルコール飲料へ変化するから注意するようにという「警告文」を、商品につけて売り上げを伸ばすことができた。――本書より
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目次
●禁酒法が生まれるまで
●禁酒法とは何なのか
●合衆国憲法修正第18条
●取り締まる者・取り締まられる者
●警察官の華麗なる変身
●もぐり酒場をめぐる人びと
●シンジケートのルーツ
●「高貴な実験」の終焉
●ウェット・プロパガンダ
●禁酒法は何をもたらしたのか
書誌情報
紙版
発売日
1996年01月19日
ISBN
9784061492844
判型
新書
価格
定価:694円(本体631円)
通巻番号
1284
ページ数
216ページ
シリーズ
講談社現代新書