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火の蛇
ヒノヘビ

「あれは、あなただったのね」……大乃木容造に襲われたとき、美樹は、はじめて気づいた。10歳の夏の嵐の午後、襖の外から垣間見た光景と、同じ姿勢だったからだ。美樹の祖母・小しのを開花し、母の真穂を開眼させた容造は、せめて、生きている限り、ただの一度でいいから、美樹をこの腕に抱きしめてみたいという、火のような欲望に駆られていた。美樹の激しい抵抗に、一度は燃えた容造も、その一言で全身から活力が萎えていった。だが……。宿命のかなしさ、女の業を描いた《火の蛇》をはじめ《秋扇》《うつり紅》など、全7篇を収めた短篇集。
ⒸSETOUCHI JAKUCHO
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書誌情報
紙版
発売日
1970年07月01日
ISBN
9784061115866
判型
新書
価格
定価:330円(本体300円)
ページ数
264ページ
シリーズ
講談社文庫
電子版
発売日
2021年12月17日
JDCN
06A0000000000307852P
著者紹介
装丁: 古沢 岩美(フルサワ イワミ)