講談社文庫作品一覧

魔食 味見方同心(四) おにぎり寿司は男か女か
講談社文庫
寿司を海苔でくるんで真ん丸にした、見た目はおにぎりで食べると寿司──そんな「おにぎり寿司」という変わり種が品川で流行っているという。しかも、謎の味覚・魔味を追い求めている「魔食会」も注目しているらしい。ここは、味見方同心である魚之進も出動。早速、妻のおのぶに買ってきてもらい吟味を始めた矢先、仰天の事態が出来する。おにぎり寿司の店主が刺殺されたのだ。目撃証言では、犯人は男か女かはっきりせず、また、店主の言い残した言葉は「おにぎり寿司はやっちゃいけなかった」だった。それはいったい何を意味するのか。犯人の手掛かりは……。

小説 父と僕の終わらない歌
講談社文庫
歌おう。人生は明るい。
アルツハイマーの父と、その息子が奏でた奇跡。
世界を感動させた奇跡の実話が、日本を舞台に映画化!
かつてプロを目指していた、音楽を愛する父・哲太。息子の雄太はそんな父が大好きだったが、アルツハイマーに冒されてしまう。
次第に家族を認識しづらくなり、粗暴になり、歌をうたうことさえ忘れてしまった。
あるとき、カーステレオから音楽を流すと、助手席の哲太が歌い始めた。
雄太は父とのデュエットを録画し、SNSにアップすると、瞬く間に世界中に拡散され、驚異的なバズを起こす。
しかし哲太の病状は進み、家族は限界を迎えようとしていた――。
寺尾 聰 松坂桃李
監督/小泉徳宏
脚本/三嶋龍朗 小泉徳宏

フォマルハウトの三つの燭台〈倭篇〉
講談社文庫
殺したのは自分自身?
気が変になりそうだろ?
AI家電の自殺疑惑、非実在の隣人を殺したと主張する被告人・・・
次々に発生する起こりえない事件。
日本SF界の巨匠が描く、地続きの未来の「真実」とは。
想像する力を侮ってはならない。
〈読者は現実と妄想は区別できるという常識を揺さぶられ、今いる現実はリアルなのか、実は妄想なのかを考えてしまうのではないか。(略)
本書は、人間の想像力がいかに強い力を持っているかから始まる。それは、人間が想像したテクノロジーが次々と現実に作られていることからも分かるが、想像力が切り開いてきた科学技術の発達が、恩寵なのか、災厄なのか判然としないケースもある。本書は人類の未来を明るく照らすために、想像力をどのように使うべきかも示しているのである〉――末國善己(解説より)
知能家電管理士である「ぼく」の仕事は、家電製品たちの仲を取り持つこと。
きょうトースターが死んだ。
自殺かもしれない。
困り果てた「ぼく」と、友人で生来の自由人・太田林林蔵の前に現れたのは、角の生えた愛らしい兎。
それは〈フォマルハウトの使い〉だという。
日本SF界の巨匠が放つ想像力迸る野心作。

パラソルでパラシュート
講談社文庫
29歳、流されるままの人生の中で、売れないお笑い芸人と出会った。
なんてことない毎日がきらめきだす、ちょっとへんてこな恋愛小説。
結婚には興味がないし、仕事も食べていけるだけの収入があれば十分。受付嬢として働く柳生美雨が三十歳の契約終了を前に出会ったのは、売れないお笑い芸人の矢崎亨だった。亨や相方の弓彦、シェアハウスの芸人たちと遊んで過ごす中で訪れる「嵐」。周りに合わせて生きてきた美雨が見つける、初めての希望とは?
掌編「夜間降下」を特別収録!

凜として弓を引く 奮迅篇
講談社文庫
いざ、関東大会予選へ。
同好会から、ついに弓道部へ昇格!
三年生になった楓。
善美、カンナら武蔵野西高校(ムサニ)弓道部の仲間たちと最後の大会に挑む。
あの『書店ガール』著者の人気「弓道」青春シリーズ
「ここまで来たら最後はいい射(しゃ)を引きたい」
武蔵野西高校(ムサニ)弓道同好会発足から一年、ついに弓道部への昇格が決まった。
新入部員も集まり、弓道経験者の新たな顧問の先生も加わる。
そして春の関東大会予選、インターハイ予選が近づいてきた。
部長の楓と絶好調の善美たちは、部として迎える最初で最後の戦いに挑む。
青春”弓道”小説シリーズ第4弾!
〈文庫書下ろし〉

斬旗党 公家武者 信平(十六)
講談社文庫
公家大名として知られる実在の人物・松平信平の物語、大人気「公家武者 信平」シリーズ最新刊!
旗本屋敷ばかりを襲う賊が現れた。「斬旗党」を名乗り、家財ばかりか討ち取った当主の首を持ち去って大道に晒す凶悪な手口。信平も警戒に当たっていたが、そこに胡乱な浪人者が面会を求めてくる。夜回りを請け負った用心棒だと言うのだが――。実在の傑人を描いた人気時代小説シリーズ。
大江戸八百八町。そのなかで「いちばん幸せな町」を作るため、信平は働き続ける!実在の傑人を描いた大人気時代小説〈文庫書き下ろし〉。

署長シンドローム
講談社文庫
周囲から「変人」と言われながらも、数々の難事件を解決に導いてきた大森署署長の竜崎伸也。
そんな『隠蔽捜査』でおなじみの竜崎が大森署を去り、後任として、キャリアの藍本小百合がやってきた。
ある日、管轄内の羽田沖海上にて、武器と麻薬の密輸取引が行われるという知らせが入るーー新署長の手腕や、如何に?

刑事弁護人(下)
講談社文庫
「人は嘘をつく生き物だ。
真実を知らなければ、本当の弁護なんてできやしない」
刑事の職を辞して
弁護士として犯罪を憎む西大輔。
被害者の加納の前科を探るうち、凛子と西は突然、弁護士解任を通告される。
涼香の虚偽の供述には理由があると感じた二人は、
彼女が一人息子の響を亡くした四年前の出来事に辿り着く。
ホスト殺害の裏に潜む残忍な幼児への性的虐待事件の真相とは。

刑事弁護人(上)
講談社文庫
「被疑者の言うことを唯一信じてあげるのが弁護人でしょう」
犯罪被害者家族でありながら、
刑事弁護に使命感を抱く持月凛子。
マンションの一室でホストの撲殺死体が見つかった。
被疑者の垂水涼香は、現職の警察官。
被害者・加納怜治の勤めるホストクラブの客だった。
持月凛子は同僚の西大輔とともに、涼香の弁護人となる。
加納の暴行に抵抗して殴打したという涼香の供述に綻びが目立ちはじめ、
凛子と西は二人の過去の因縁に注目する。

夫には 殺し屋なのは内緒です 3
講談社文庫
江戸の町に人斬りが出たらしい。「正義党」と名乗る輩が高利貸しを狙っているのだという。月は金貸しのおかみさんたちに相談を受け、善良な高利貸しも殺されているのを知って、放っておけなくなる。行商人の仕入れのための金を貸す良い金貸しだっているのだ。月は早速、そのおかみさんたちを一軒の長屋に集めることを要に提案する。さらに、事件のことを瓦版に書いてもらい、犯人をおびき出そうという作戦だった……。

プライド3 警官の本懐
講談社文庫
元公安警察の作家、濱嘉之の最新シリーズ・完結編!
6年前、隆一、清四郎、和彦の幼馴染3人が追っていた政界と反社会組織が複雑に絡み合う犯罪は、まだ別ルートでしぶとく続いていた。そんな中、東日本大震災が起こる。混乱の時期を経て、悪の連鎖を断ち切るべく執念を燃やす3人だったが、警官としての円熟期の先に思いもしない出来事が……。
<文庫書下ろし>

公務執行の罠 逸脱刑事
講談社文庫
都内の弁天代署の生活安全課でノンキャリ警察官の無紋大介は、
「ゴミ屋敷」の問題を扱うことに。ゴミ屋敷の主は、もと大学教授だという。
どんな理由があって、ゴミを溜め込むのか。無紋はこだわり捜査をはじめる。
同じ管内で、通り魔殺傷事件が発生する。そもそも権限外の通り魔に興味がない
無紋に捜査一課の刑事が、言葉巧みに捜査の助言を促してくる。
相談に気乗りしない無紋はゴミ屋敷の解消に専念するが・・・。
些細なことを見逃さないこだわり刑事の捜査小説、待望の第2弾!

燃える息
講談社文庫
町中でバッグや財布が「連れて行って」と私を呼ぶ。置き引きがやめられない私が次に手にした物とは。
ダイエットと運動を限界まで続けてしまう婚約者。
化粧品の衝動買いが止まらない母と美容にこだわる息子、など。
何かに依存せずにはいられない人間の性を描き、強烈なインパクトを残す6編収録。新感覚短編集。
貴方は何をやめられない?
現代人の約七割が、依存症!?
盗り続けてしまう人、刺激臭が癖になる人、運動せずにはいられない人、鏡をよく見る人、
緊張すると掻いてしまう人、スマホを手放せない人ーー抜けられない、やめられない。
依存しているのか、依存させられているのか。彼、彼女らは、明日の私たちかもしれない。
──三宅香帆(書評家)

タマや 新装版
講談社文庫
孤独な魂と猫(タマ)の奇妙な日々を、独特のユーモアで描く珠玉の連作短編集。
顔が大きくて丸い猫をおしつけられて、ぼくは困ってしまう。間もなく五匹の仔猫も誕生した。気ままで頼りない、おかしな人間たちと猫との日々。さびしさも哀しみもゆるやかに流れ……。英米をはじめ翻訳出版が欧州各地で話題の著者による、猫のようにしなやかな美文。読む喜びをもたらす麗しの連作短編新装版。

魔弾の標的 警視庁殺人分析班
講談社文庫
動物用の檻に閉じ込められた、全裸の男の遺体。腹部の深い傷にはなぜか治療用の薬剤が付着していた。さらに今回、刑事・如月塔子の相棒は鷹野秀昭ではなく……? 戸惑う塔子を嘲笑うかのように、第二の事件が発生! 残虐な犯行の奥に潜む悪意とは!? シリーズ累計85万部突破の大人気警察ミステリー、戦慄のゲームマスター編、始動!

漆花ひとつ
講談社文庫
変転する時代を生きのびろ!
平安末期、貴族の世から武士の世に時代が移ろうとする都を舞台に、権力者に翻弄されながらも懸命に生きる人々
の姿を描く。
二十二年前に討たれたはずの悪対馬守が二人舞い戻り、「我こそが本物」と衝突する表題作、内裏に勤める楽人が琵琶の達人を帝の師に迎えるため奔走する「鴻雁北」など至高の五編収録。
必死に足掻いて生き続けるのさ。この国の政がどうあろうともーー。
宮廷を覆う不穏な影。
猛き者たちの世へ時代が移ろう中で、滅びゆくものと、生き続けるもの。
歴史小説の一等星、澤田瞳子が描く至高の短編集。

裁判官も人である 良心と組織の狭間で
講談社文庫
エリートが組織の「犬」になった瞬間!
最高裁に逆らったら法曹界追放、原発差し止めで出世は絶望、警察リークにのせられて冤罪……。正義の神でもなければ、AIでも六法全書でもない。隠されてきた「ナマ臭い」裁判官の素顔を暴き出す傑作ノンフィクション!
原発再稼働の可否を決め、死刑宣告をし、「一票の格差」について判断を下す――裁判官は、普通の人には想像できないほどの重責を負う。その重圧に苦悩する裁判官もいれば、個人的な出世や組織の防衛を優先する裁判官もいる。絶大な権力を持つ「特別なエリート」は何を考え、裁いているのか?
出世欲、プライド、正義感、情熱…生々しい感情が渦巻く裁判官の世界。これまで堅く閉ざされていたその扉を、粘り強い取材が、初めてこじ開けた。「週刊現代」連載時から大きな反響を呼んだノンフィクションが文庫化!
日本エッセイスト・クラブ賞受賞。

侠
講談社文庫
かつては名うての博徒、今や寂れた蕎麦屋の銀平。最期に挑むは自らの生を賭した大博奕。人生の黄昏に涙する、時代小説の新たな傑作!
文庫シリーズ『落としの左平次』も大好評の著者、第26回大藪春彦賞受賞作!
たとえ落ちぶれようと、塵芥のように死んだとしても、一生懸命に生きたという事実は変わらない。ちっぽけな存在でも、誰かのために命を燃やすことができる。ひとりの男の生涯を通じて、作者は人間の生きる意味を謳い上げているのである。
細谷正充(書評家)――本書解説より

奇跡
講談社文庫
あのベストセラー、待望の文庫化!
「不倫」という言葉を寄せつけないほど二人は正しく高潔であった。
これは、本当にあった「奇跡」の愛の物語。
「真実を語ることは、これまでずっと封印してきました――」
男は世界的な写真家。
女は梨園の妻で、母親だった。
「不倫」という言葉を寄せつけないほど正しく高潔な二人。
これはまさしく「奇跡」なのである。
作家の私は、博子から託された"奇跡の物語"を綴ってゆく。
著者の三十八年ぶり書下ろし小説が文庫化。
〈田原桂一君へ
君が再婚したことには驚かへんけど、まさか君が梨園の妻の博子さんと「出会ってしまった」という運命的な言葉の背後にしか生きられへんと悟ったことが「奇跡」やったんか。(略)
君のあの人懐っこい微笑が、まさか死の悲しみを内包しとったんかということは知るよしもなかった。博子さんは君から生の歓びと同時に死の悲しみを贈られて、君は一人旅立った。因果な歌舞伎の前世物語みたいで、不憫でならない。〉
――横尾忠則(「朝日新聞」2022年4月9日付)

黒猫を飼い始めた
講談社文庫
5分で、世界が反転。
ルールは一つ。全作家が「黒猫を飼い始めた」の書き出しで始めること。秘密の手紙を運ぶ猫、悪神が乗り移った猫、猫ではないかもしれない猫……。二行目から一変する世界に息を呑み、結末に言葉を失う。愛も驚き恐怖も全部詰まった、会員制読書クラブMRCで大好評のショートショート企画が待望の文庫化!
26人の個性が爆発!
≪超豪華執筆陣≫
「妻の黒猫」 潮谷 験
「灰中さんは黙っていてくれる」 紙城境介
「イメチェン」 結城真一郎
「Buried with my CAAAAAT.」 斜線堂有紀
「天使と悪魔のチマ」 辻 真先
「レモンの目」 一穂ミチ
「メールが届いたとき私は」 宮西真冬
「メイにまっしぐら」 柾木政宗
「ミミのお食事」 真下みこと
「神の両側で猫を飼う」 似鳥 鶏
「黒猫の暗号」 周木 律
「スフィンクスの謎かけ」 犬飼ねこそぎ
「飽くまで」 青崎有吾
「猫飼人」 小野寺史宜
「晦日の月猫」 高田崇史
「ヒトに関するいくつかの考察」 紺野天龍
「そして黒猫を見つけた」 杉山 幌
「ササミ」 原田ひ香
「キーワードは黒猫」 森川智喜
「冷たい牢獄より」 河村拓哉
「アリサ先輩」 秋竹サラダ
「登美子の足音」 矢部 嵩
「会社に行きたくない田中さん」 朱野帰子
「ゲラが来た」 方丈貴恵
「独り暮らしの母」 三津田信三
「黒猫はなにを見たか」 円居 挽
あなたはどの黒猫がお好き?