講談社現代新書作品一覧

宮内庁長官 象徴天皇の盾として
宮内庁長官 象徴天皇の盾として
著:井上 亮
講談社現代新書
 戦後の日本国憲法下では天皇は政治的権能を失い、側近が政治的影響力を及ぼすことはなくなった。内大臣は廃止され、侍従長も純粋な天皇の秘書役となる。侍従職は御璽・国璽を管理するが、天皇の国事行為に関与することはありえなくなった。オクはまさしく政治の舞台から退場し、宮中の奥に収まったのだ。  (中略)  敗戦後しばらくは天皇に反発する国民も少なくなかったが、世論の大多数は天皇制を支持した。政治的権能は失ったが、精神的権威としての天皇は存続した。天皇は戦後の日本社会でも大きな存在でありつづけた。昭和の戦前戦中期に軍などの勢力にその権威が利用されたように、日本国憲法の下でも内閣その他の政治勢力によって天皇の権力(形式的ではあるが)と権威が利用される危険性は残ったのだ。  昭和の亡国の歴史をくりかえさないためにも、天皇の政治利用は絶対に阻止しなければならない。ある特定の政治勢力に利用されていると国民が受け止めれば、国民統合の象徴としての信頼と権威は瓦解し、天皇制の存続も危うくなる。  そのための「盾」として、重要な役割を担うことになったのがオモテを仕切る宮内庁長官である。宮内庁は内閣の下にある官庁だが、天皇を政治的、恣意的に利用しようとする動きがあれば、内閣といえどもその指示に抵抗しなければならない。ある局面では政府から超然とする必要があり、その気概が求められる。宮内庁長官はむずかしい職務である。  (中略)  象徴天皇制での宮内庁長官は2025(令和7)年初めの時点で歴代10人を数える。  (中略)  象徴天皇制が実施されておおよそ80年。この間に生じたさまざまな課題にたいして、各時代の長官はどう対処してきたのか。それを俯瞰することで、象徴天皇制の形成過程とあるべき姿が浮かび上がってくると思う。(プロローグより)
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移動と階級
移動と階級
著:伊藤 将人
講談社現代新書
この世界には「移動できる人」と「移動できない人」がいる。 日本人は移動しなくなったのか? 人生は移動距離で決まるのか? なぜ「移動格差」が生まれているのか? 通勤・通学、買い物、旅行、引っ越し、観光、移民・難民、気候危機…… 日常生活から地球規模の大問題まで、移動から見えてくる〈分断・格差・不平等〉 独自調査データと豊富な研究蓄積から「移動階級社会」の実態に迫る! 【本書のおもな内容】 ●「移動は成功をもたらす」は本当なのか? ●半数弱は「自由に移動できない人間」だと思っている ●5人に1人は移動の自由さに満足していない ●3人に1人が他人の移動を「羨ましい」と思っている ●移動は「無駄な時間」なのか? ●移動は誰のものか?――ジェンダー不平等という問題 ●格差解消に向けた「5つの方策」とは?……ほか 【目次】 第1章 移動とは何か? 第2章 知られざる「移動格差」の実態 第3章 移動をめぐる「7つの論点」 第4章 格差解消に向けた「5つの観点と方策」 「移動」をもっと考えるためのブックリスト
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進化という迷宮 隠れた「調律者」を追え
進化という迷宮 隠れた「調律者」を追え
著:千葉 聡
講談社現代新書
「進化は再現不可能な一度限りの現象なのか? それとも同じような環境条件では同じような適応が繰り返し発生するのか?」進化のあり方をめぐって、進化生物学者の間で20世紀から大論争を繰り広げられてきた命題をめぐるサイエンスミステリー。圧倒的なまでの筆力で進化生物学の醍醐味を伝える。『歌うカタツムリ』(第71回毎日出版文化賞)『ダーウィンの呪い』(2024年新書大賞10位)で注目される進化学者による書き下ろし最新作です。 第一章 生命史の動画 太陽系外惑星に人類はいるか/ワンダフル・ライフ/自然の実験と調律者 第二章 旅のはじまり 赤い海岸/悪夢のような世界/偶然の連鎖/とっておきの研究/子供に見える大人/進化古生物学と形の科学/美しい研究計画/白い砂丘 第三章 自然の実験 コンコルド効果/過去へ/失われた世界/隠れた多様性/表と裏 第四章 シュタインハイムの奇跡 師には見えぬ世界/化石で描いた初めての系統樹/消えた先住者/外を見て内を知る/進化ではない変化とDNA配列が変化しない進化 第五章 進化の速度と様式 新人類/古生物学の革命/ぺダンティックな仮説/適応の景色/大巧は拙なるが若し 第六章 湖底の財宝 我とともに来たり、我とともに滅ぶべし/誰もやってないから/湖で起きる種分化/魔法形質/異型精子/進化の規則 第七章 生命の樹を探す魔法 真犯人は誰だ/手段は目的になりうる/ディスプレイの向こう側/小は大を兼ねるか 第八章 ホビットと巨人 206 巨大化の謎/学園に潜む巨大生物/島嶼の規則/庭の探検/醜い者たちの神/巨鳥モア/古生代の覇者/トンボのサイズ理論/ユニークで一般的 第九章 妖精と怪物 キウイの卵/スパンドレル/制約と進化可能性/恐竜の親指/白い妖精/森の怪物/ウスリーの森 第十章 火山島 カミと進化/ジェネラリストとスペシャリスト/伝説の島/霧の中/天界の森 第十一章 緑のドラゴン 鉄人とマイマイ/魔の島/新世界での進化/殻のトレードオフ 第十二章 貝と魔物 孤独な存在/未来の創始者/受け継がれた遺産/魔物の進化/調律者の正体 第十三章 未来への旅 引き継いでいくもの/進化ふたたび/緑の未来
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外国語独習法
外国語独習法
著:大山 祐亮
講談社現代新書
教科書選びから単語暗記まで、なぜ私たちは語学に躓いてしまうのか。 スラスラ読めてコツが身につく、「ここまでやればいい」がわかる。 100の言語をあやつる若き天才学者による、外国語学習の決定書! どんな言語にも使える! 挫折知らずの 外国語独習50のルールを大公開! 【本書の主な内容】 ●ウサギではなく意識してカメになる ●机に座る勉強からはもう卒業する ●「和訳だけ、作文だけ」の教科書はNG ●巻末の語彙集と変化表はマスト ●教科書の一周目は「速く浅く」 ●ノートは書き散らすためにある ●文型優先型と活用優先型を知る ●「文の中心は動詞」が鉄則 ●写経は最強の暗記法と心得る ●フレーズ音読で暗記効果アップ ●発音の鍵、「サンディ」を制する 【目次】 はじめに 第1章 世界の言語地図 第2章 外国語習得の心構え 第3章 教材はこうやって選ぶ 第4章 独習の秘訣~文法編~ 第5章 独習の秘訣~読解、暗記編~ 第6章 独習の秘訣~会話・発音、発展編~ 終章 多言語学習のすすめ
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内務省 近代日本に君臨した巨大官庁
内務省 近代日本に君臨した巨大官庁
編:内務省研究会
講談社現代新書
なんだ? この怪物は…… 現在の警察庁+総務省+国土交通省+厚生労働省+都道府県知事+消防庁… あまりに大きすぎたために、全体像をつかむことができなかった内務省。 気鋭の研究者たちが集結し、その歴史から組織・人までがわかる決定版がついに誕生! 民主主義の敵か、近代日本の立て役者か――。人々の生活全般を所管し、他の省庁を圧倒した「省庁の中の省庁」は、いかに生まれ、いかに衰退していったのか。近代日本の政治と行政のあゆみを辿りながら、現代日本の淵源ともいうべき巨大すぎる官庁の実像を描き出す。 この省庁を知らずして、近代日本は語れない! 本書の内容 はじめに――なぜ、今、内務省を取り上げるのか 清水唯一朗 序 論 内務省――政治と行政のはざまで 清水唯一朗 通史編 第一章 「省庁の中の省庁」の誕生――明治前期 小幡圭祐 第二章 内務省優位の時代――明治後期~大正期 若月剛史 第三章 政党政治の盛衰と内務省――昭和戦前期 手塚雄太 第四章 内務省の衰退とその後――戦中~戦後期 米山忠寛 テーマ編 第一章 近代日本を支えた義務としての「自治」――地方行政 中西啓太 第二章 戦前の「国家と宗教」――神社宗教行政 小川原正道 第三章 権力の走狗か、民衆の味方か――警察行政 中澤俊輔 第四章 感染症とどう向き合ってきたか――衛生行政 市川智生 第五章 河川・道路政策の展開と特質――土木行政 柏原宏紀 第六章 救貧・慈善から「社会事業」へ――社会政策 松沢裕作 第七章 内務省の議会史?――内務省と帝国議会 原口大輔 第八章 国民統合をめぐる攻防――内務省と軍部 大江洋代 第九章 災害を防ぐ、備える――防災行政 吉田律人 第十章 省内外にひろがる土木技術者のネットワーク――港湾行政 稲吉 晃 コラム 1 内務省の官業払下げ 谷川みらい 2 内務省の人事と官僚の生き様――水野錬太郎と福原鐐二郎 松谷昇蔵 3 選挙権なき女性の政治参加――政治家の妻の視点から 手塚雄太 4 内務省とそのアーカイブズ 下重直樹 5 「人見植夫」――雑誌『斯民』に登場したシドニー・ウェッブ 白木澤涼子 6 府県課長のイスにこだわった井上友一 木下順 7 文化・芸術と検閲――演劇検閲のあり方から 藤井なつみ 8 社会の発見――田子一民 渡部亮 9 内務省出身者と政治教育 西田彰一 10 内務省と植民地 李炯植 11 北海道と沖縄 塩出浩之
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なぜヒトだけが幸せになれないのか
なぜヒトだけが幸せになれないのか
著:小林 武彦
講談社現代新書
【シリーズ累計25万部突破! 「幸せに生きる」ための生物学講義】 『生物はなぜ死ぬのか』では死の意味を、『なぜヒトだけが老いるのか』では老いの意味を生物学的に考察してきた著者によるシリーズ最新作。第三弾となる本書のテーマは「幸せ」。 生物の中でも、ヒトは「ある変化」を機に幸せに生きにくくなったという。その理由とはなにか。幸せに生きる方法はないのか。生物学から「ヒトが生きる意味」を考える。 生物学的な価値観から「幸せ」=「死からの距離が保てている状態」と定義してみます。この定義に当てはめて現状を考えると、何がヒトの幸せの妨げになっているのかが見えてきました。意外なことにその原因の一つは、私たちの細胞一つ一つに存在する「遺伝子」にあったのです。ーー「はじめに」より ・ヒトだけに見られる「遺伝子と環境の不適合」 ・幸せは「死からの距離感」で決まる ・進化的に見た生物の「幸せ」とは ・生物学的視点から考える「リーダーの四つの条件」 ・移動をやめて格差が生まれた ・ヒトはテクノロジーの使い方が上手くない ・豊かさと幸せは一致しない ・地方に住むと「幸せ」になれる? ・ため込まないことの幸せ ・「幸せ」は遺伝子に刻まれている ・長生き以外の「幸せ」の要因 ・ヒトは絶滅の危機にある?  ……ほか ◆おもな内容 第1章 進化からみた生きものの幸せ 第2章 ヒトの幸せとは一体なにか 第3章 「幸せ」は遺伝子に刻まれている 第4章 なぜヒトは「幸せ」になれないのか? 第5章 テクノロジーはヒトを「幸せ」にするのか 第6章 「幸せ」になるために――生物学的幸福論
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新書 昭和史  短い戦争と長い平和
新書 昭和史  短い戦争と長い平和
著:井上 寿一
講談社現代新書
戦争の中に平和があり、平和の中に戦争があった――。 昭和を知ると〈いま〉がわかる。第一人者が一人で描いた決定版通史! グローバル化、格差拡大、揺らぐデモクラシー――、現代日本の課題は、すでに戦前昭和にあった! 戦前=戦争とファシズム、戦後=平和と民主主義の図式ではわからない、昭和の実像とは? 近現代100年を、過酷な状況のなか懸命に生きた人びとの群像劇で描写する、昭和年代記! 〔本書の内容〕 1章 平和のなかの戦争の予兆 一九二六~一九二九年 昭和改元の裏側/朴烈怪写真事件の波紋/モボ・モガと「細民」たち/第一回男子普通選挙と無産政党/世界大恐慌と金解禁 2章 非常時小康 一九三〇~一九三六年 柳条湖事件の謀略/五・一五事件後の退潮/電化生活と中央線沿線のインテリたち/中学生が見た二・二六事件 3章 戦争をめぐる理想と現実 一九三七~一九四〇年 華北分離工作という転換点/日中戦争と召集令状/経済学者の文化工作/軍票の現実/戦時下の福祉政策/失われた「東亜共同体」の理想 4章 戦争と平和の間 一九四一~一九四四年 中内功の夢/配給制度と「上流婦人」/等しく貧しい「新しい生活様式」/ルソン島での無意味な戦闘/敗戦前に回し読みされていた本 5章 国際冷戦と国内冷戦 一九四五~一九五二年 ポツダム宣言の受諾/傀儡政権の末路/人民裁判の悪夢/吉田茂の平和主義/国内冷戦を警戒する昭和天皇 6章 高度経済成長下の戦争 一九五三~一九七〇年 〈革命〉をめざす学生たち/自衛隊幹部の現実主義/大衆消費社会とテレビ/オリンピックと戦争体験/連合赤軍事件とあさま山荘事件 7章 ヴァーチャルな戦争 一九七一~一九八九年 松任谷由実と基地文化/日中国交正常化/六〇年代の子供たちとしての村上春樹/日米経済摩擦という「戦争」/大東亜レジャー圏 8章 終わらない戦争 一九九〇~二〇二五年 湾岸戦争と「絶対的平和主義」/「創憲」論への批判/中国と沖縄への訪問/「失われた三〇年」の始まり/平和国家の再構築
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ほんとうの会議 ネガティブ・ケイパビリティ実践法
ほんとうの会議 ネガティブ・ケイパビリティ実践法
著:帚木 蓬生
講談社現代新書
討論なし。 批判なし。 結論なし。 「言いっ放し、聞きっ放し」の会議が、 なぜこれほど人生を豊かにするのか? 私たちが囚われている 「不毛な会議」観を 根底からひっくり返す! 人生を変える、新しい形のミーティング 本書の内容 ●「ネガティブ・ケイパビリティ」と「オープン・ダイアローグ」が、新しいミーティングの二大要素。 ●ネガティブ・ケイパビリティとは、「不確実さや神秘さ、疑いの中に、事実や理を早急に頼ることなく、居続けられる能力」。 ●オープン・ダイアローグの核心は、ポリフォニー(多声性)。 ●答えのない世界に身を置いて、対話し続けるうちに、思いもかけない世界が見えてくる。 ●評価を放棄することで、自由で自然な対話が生まれる。 ●ミーティングは、雑多な意見が披露され、種々の声が行き交うカーニバルのようであるべき。 ●「答えは質問の不幸である」。すぐに答えを求めることは可能性を閉ざす。 ●薬もカウンセリングも効果がなかったギャンブル症者が、自助グループのミーティングで回復。 ●ラカン、メルロ=ポンティ、カミュ、バタイユ、ミッテランらフランスの知性を輩出したパリのアパルトマンで、日夜繰り広げられた「終わりなき対話」。 《目次》 第一章 ギャンブル脳を回復させるミーティング 第二章 心の病いを治すオープン・ダイアローグ 第三章 悪を生む会議と人を成長させるミーティング 第四章 答えは質問の不幸である
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オスマン帝国全史 「崇高なる国家」の物語 1299-1922
オスマン帝国全史 「崇高なる国家」の物語 1299-1922
著:宮下 遼
講談社現代新書
多民族・多宗教の大帝国はいかに栄え、そして滅びたか? 600年にわたる興亡を、小説家にして気鋭のトルコ文学者が描ききる! 渾身の「オスマン帝国史」が幕をあけるーー!! 「文明の発祥地であり東西南北の人とモノが目まぐるしく行きかう西ユーラシアにあって、しかもイスラーム教と正教、ユダヤ教、カトリック教を奉ずる異教徒同士が混住する東地中海と中東の只中に産声をあげ、従って富とともに常なる外寇と内訌(ルビ:ないこう)に晒(ルビ:さら)されるはずの地域に成立しながら、かほどの遐齢(ルビ:かれい)を見た国家は世に類を見ない。 本書は、現代から見れば、到底一つの政体が統合できるとは思われないこの世界を、実際に統治してみせたオスマン帝国の歴史を、最新の研究成果に拠りつつ辿る通史として編まれた(「はじめに」より)」 歴史のダイナミズムをとことん味わう、野心的な歴史大作! 【本書の構成】 はじめにーー崇高なる国家、あるいはオスマン世界 第一章 辺境の君侯 第二章 海峡をまたぐ王朝 第三章 大征服時代、世界帝国の誕生 第四章 壮麗王の帝国 第五章 成熟の帝国 第六章 改革の世紀 第七章 専制と革命 第八章 帝国の終焉 終章 オスマン語が語る世界
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ゼロから始める 無敵のレポート・論文術
ゼロから始める 無敵のレポート・論文術
著:尾崎 俊介
講談社現代新書
誰も教えてくれなかった「超基本のはなし」 なぜつまづくのか、書けないのか……これでぜんぶわかる! ●テーマをどう選べばいいか? ●論文・レポートには型がある? ●なぜ文章が書き出せないのか? ●資料集めの達人になるには? ●良い論文と悪い論文の決定的な違いとは? ●絶対やっちゃダメなこととは? 30年以上指導してきた大学教授が 「極意」を書き尽くした決定版!
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科学的思考入門
科学的思考入門
著:植原 亮
講談社現代新書
「ふだん使いの科学」で、思考の土台を強くする! 自分の頭で考え、ファクトチェックするためにーー科学という営みの本質を楽しく学べる、最良の入門書。 有害な情報から身を守り、無意識のバイアスを避けるには? 情報過剰社会を生きる私たちに必須の「免疫」 ーー日常・仕事で威力を発揮する「科学的思考」 <本書の内容> 第1章 科学的思考をスケッチする 第2章 因果関係を考える 第3章 科学的思考を阻むものーー心理は真理を保証しない 第4章 実験という方法 第5章 科学的に説明するとはどういうことか 第6章 科学的に推論し、評価する 第7章 みんなで科学的に思考する 因果関係の正しい理解から、認知バイアス、アブダクションまで 豊富な例や問題でわかりやすく解説
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決定版 交響曲の名曲・名演奏
決定版 交響曲の名曲・名演奏
著:許 光俊
講談社現代新書
ベートーヴェンの交響曲の名演奏はやはりフルトヴェングラー? それともヴァント? ではではカラヤンは・・・・・・? 交響曲の歴史をたどりながら、代表的な名曲の古今の演奏を聴き比べ。定番から知られざる名演奏まで、初心者には恰好のガイド、マニアにも読み応え十分の、入門書にして決定版!
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持続不可能な財政 再建のための選択肢
持続不可能な財政 再建のための選択肢
著:河村 小百合,著・その他:藤井 亮二
講談社現代新書
世界最悪の借金大国 この国はもうダメなのか? 私たちが迫られる「究極の選択」 現役世代へのツケ回しはもう限界。「破綻」を避けるために何ができるのか そろそろ本当の話をしよう 我が国の財政運営は、このままではこの先、何かのきっかけで、いつ何どき、行き詰まってもおかしくない状態にすでに陥っています。まさに「持続不可能」なのです。しかも、「これまでに国として積み上げてきてしまった借金、国債残高の大きさ」と、「厳しい人口減少傾向に象徴されるように国力が、疑いようのないほどに低下傾向をたどっていること」を合わせれば、ついに「行き詰まった」ときに起こる事態は、我が国自身が第二次世界大戦の敗戦直後に経験した苛烈な国内債務調整に匹敵するものにならざるを得ないことは容易に想像がつきます。 では、どうすればよいのでしょうか。どうすれば、私たちのこの国の財政運営を立て直せるのでしょうか。私たちの後に続く世代のことを考えれば、「どうせ無理だから」などと投げ出すことは決して許されません。本書を手に取ってくださったお一人おひとりに、ぜひともご一緒に考えていただきたいと思います。 本書の内容 まえがき 第1部 「財政再建から逃げ続ける国」の行き着く先 第2部 シミュレーション日本の財政はどうなるか 第3部 聖域なき歳出削減何をどう減らすのか 第4部 公平・公正な税制と納得できる税負担を考える 第5部財政再建アラカルトあなたは何を選びますか? あとがき
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知能とはなにか ヒトとAIのあいだ
知能とはなにか ヒトとAIのあいだ
著:田口 善弘
講談社現代新書
「AIは人類を上回る知能を持つか?」 「シンギュラリティは起きるのか」。 今世紀最大の論点に機械学習に精通した物理学者が挑む チャットGPTに代表される生成AIは、機能を限定されることなく、幅広い学習ができる汎用性を持っている、そのため、将来、AIが何を学ぶかを人間が制御できなくなってしまう危険は否定できない。しかし、だからといって、AIが自我や意識を獲得し、自発的に行動して、人類を排除したり、抹殺したりするようになるだろうか。この命題については、著者はそのような恐れはないと主張する。少なくとも、現在の生成AIの延長線上には、人類に匹敵する知能と自我を持つ人工知能が誕生することはない、というのだ。 その理由は、知能という言葉で一括りされているが、人工知能と私たち人類の持つ知能とは似て非なるものであるからだ。 実は、私たちは「そもそも知能とはなにか」ということですら満足に答えることができずにいる。そこで、本書では、曖昧模糊とした「知能」を再定義し、人工知能と私たち人類が持つ「脳」という臓器が生み出す「ヒトの知能」との共通点と相違点を整理したうえで、自律的なAIが自己フィードバックによる改良を繰り返すことによって、人間を上回る知能が誕生するという「シンギュラリティ」(技術的特異点)に達するという仮説の妥当性を論じていく。 生成AIをめぐる混沌とした状況を物理学者が鮮やかに読み解く 本書の内容 はじめに 第0章 生成AI狂騒曲 第1章 過去の知能研究 第2章 深層学習から生成AIへ 第3章 脳の機能としての「知能」 第4章 ニューロンの集合体としての脳 第5章 世界のシミュレーターとしての生成AI 第6章 なぜ人間の脳は少ないサンプルで学習できるのか? 第7章 古典力学はまがい物? 第8章 知能研究の今後 第9章 非線形系非平衡多自由度系と生成AI
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はじめての大乗仏教
はじめての大乗仏教
著:竹村 牧男
講談社現代新書
日本の仏教はすべてここから花開いた――。 仏教哲学の碩学が巨大な思想の本質を平易に解説! ・縁起の関係主義的世界観とは? ・なぜ「他力」なのか? ・実体的存在を否定する「空の思想」とは? ・生死輪廻をどのように説くのか? ・菩提と涅槃とは何か?…… 私たちはなぜ、自我とものに執着し、苦しむのか。 大乗仏教の世界観と人間観の核心がわかる入門書にして決定版! 日本では、聖徳太子以来、大乗仏教の研鑽が積まれてきました。奈良時代、三論宗(般若中観の教え)、法相宗(唯識の教え)、華厳宗(『華厳経』に基づく教え)などが研究され、平安時代には、『法華経』を所依とする天台宗と、『大日経』、『金剛頂経』を所依とする真言宗が成立し、鎌倉時代には、浄土、禅、法華の新仏教も誕生しました。それらは、日本人の精神史を支えたのみでなく、建築・庭園・絵画・工芸・音楽・文芸等、さらには、華道・茶道・武道等、あらゆる文化を形成しています。数々の優美な仏像は、今も人びとの心を捉えてやみません。仏教は日本の思想・学芸・文化に深く浸透し、大きな影響を与えています。――「はじめに」より
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超解読! はじめてのフッサール『イデーン』
超解読! はじめてのフッサール『イデーン』
著:竹田 青嗣,著:荒井 訓
講談社現代新書
難解な哲学書をわかりやすく解説する「超解読!」シリーズ最新刊! ヨーロッパ哲学の最大の難問=認識論の謎を解明した二十世紀哲学の最高峰をわかりやすくかみ砕いて解説。 「普遍認識は可能か」。ギリシャ哲学以来続く認識問題の難問。なぜフッサールは、この認識問題を解明するためには根本的な「視線の逆転」が欠かせないと主張したのか? ヨーロッパ哲学にパラダイム転換をもたらし、人間と社会についての新しい「本質学」の道を開くこととなった現象学の核心に迫る! フッサール現象学は、存在論哲学のハイデガー、言語哲学のヴィトゲンシュタインとならんで二十世紀哲学の三つの最高峰をなす。しかし現象学の根本動機、根本理念、根本方法は、ここまで大きな誤解に晒さらされ続けており、それは現在にまでいたっている。フッサール現象学の最大の功績は、ヨーロッパ哲学の最大の難問といえる認識論の謎、哲学的な普遍認識の可能性についての謎を完全に解明した点にある。にもかかわらず、ここまでのところ、フッサール現象学のこの根本動機が明確に指摘されたことはなく、したがって、その解明の方法のエッセンスが明示されたこともない。――「序論」より
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睡眠の起源
睡眠の起源
著:金谷 啓之
講談社現代新書
私たちはなぜ眠り、起きるのか? 長い間、生物は「脳を休めるために眠る」と考えられてきた。 それは本当なのだろうか。 新発見!脳をもたない生物ヒドラも眠る――。 世界を驚かせた気鋭の研究者が睡眠と意識の謎に迫る 極上の科学ミステリー! 起きていることは、なんて特別なことだろうか――。 眠りの世界から見えてくる〈生物進化のふしぎ〉 【本書のおもな内容】 ●人類は睡眠について何を考えてきたのか? ●眠りが「死の疑似体験」だと解釈された時代 ●なぜ寝だめは無意味なのか? ●眠っている脳と起きている脳の違い ●睡眠は「脳を休めるため」ではなかった? ●睡眠を調節する「睡眠圧」と「体内時計」 ●眠らない生き物は存在するのか? ●生物の“ほんとうの姿”は眠っている姿 ●私たちが眠らなければいけない理由……ほか 【目次】 はじめに――生物はなぜ眠るのか? 第一章 クロアゲハは夜どこにいるのか 第二章 眠りのホメオスタシス 第三章 眠りと時間 第四章 ヒドラという怪物 第五章 眠りのしくみ 第六章 眠りの起源は何か 第七章 眠りと意識
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老いを読む 老いを書く
老いを読む 老いを書く
著:酒井 順子
講談社現代新書
「老い本」(おいぼん)とは、人々の老後への不安と欲望にこたえるべく書かれた本のこと。 世界トップクラスの超高齢化社会である日本は、世界一の「老い本」大国でもある。 昭和史に残る名作から近年のベストセラーまで、「老後資金」「定年クライシス」「人生百年」「一人暮らし」「迫りくる死」などトピック別に老い本を厳選し、日本の老いの精神史を鮮やかに読み解いていく。 老いを満喫中の方も、予習中の方も、老後をメタに考えることができる本! 先人・達人たちは老後をいかに乗り切ったか? <「はじめに」より> 老い本を書く側の充実という現象も見て取ることができる。老い本を欲している読者に本を供給するのは、高齢者の気持ちを十分に知っている、高齢当事者の著者達。老い本が売れるということを知った出版社も今、老い本の執筆を高齢著者にどんどん発注している。日本では出版不況が長く続いているが、老い本の界隈に限っては、熱いブームが続いているのだ。 この現象は、日本独特のものであるらしい。海外の出版事情に詳しい著作権代理店の版権担当者に聞けば、高齢化が進んでいる先進諸国において、日本のような老い本ブームは発生していないとのこと。 老い本ブームは、一過性のものではなかろう。日本では当分の間、高齢化率も平均寿命も高水準で推移することが予測されているのであり、老い本への需要もまた、高いままであり続けるに違いない。 老い本、および老い本の著者達を検証することによって、日本の高齢者、および高齢化の今と今後が見えてくるのではないか。 <目次> はじめに 「老い本」大国ニッポン 第一章 老いの名作は老いない 一 迷惑をかけたくない──『楢山節考』 二 いつか、自分も──『恍惚の人』 三 マンガが見つめる孤独──『いじわるばあさん』 四 古典の老いと理想──『竹取物語』 『枕草子』 『徒然草』 『方丈記』 第二章 老いをどう生きるか 一 百歳の人間宣言 二 定年クライシス 三 六十代──老人界のフレッシュマン 四 「乙女老女」は未来志向 コラム 老い本ブームの先陣を切った二冊の「新しさ」 第三章 老いのライフスタイル 一 一人暮らし 二 おしゃれの伝承 三 おばあさんと料理 四 田舎への移住 コラム 高齢者の「迷惑恐怖」を煽る終活本 第四章 老いの重大問題 一 金は足りるのか 二 配偶者に先立たれる 三 「死」との向き合い方 四 老人と性 おわりに 老い本は不安と希望のしるし──ぴんころ地蔵と姨捨山を訪ねて 老い本年表
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現代日本人の法意識
現代日本人の法意識
著:瀬木 比呂志
講談社現代新書
日本を震撼させた衝撃の名著『絶望の裁判所』から10年 元エリート判事にして法学の権威が、日本人の法意識にひそむ「闇」を暴く! 本書は、書名から明らかなとおり、日本人に根付いている「日本人特有の法意識」をテーマとする。私は、裁判官として三十三年間に約一万件の民事訴訟事件を手がけるとともに、研究・執筆をも行い、さらに、純粋な学者に転身してからの約十三年間で、以上の経験、研究等に基づいた考察を深めてきた。この書物では、そうした経験をもつ者としての、理論と実務を踏まえた視点から、過去に行われてきた研究をも一つの参考にしつつ、「現代日本人の法意識」について、独自の、かつ多面的・重層的な分析を行ってみたいと考える。 法学者・元裁判官である私が、法律のプロフェッショナルですら満足に答えられないような曖昧模糊とした「法意識」に焦点を合わせた一般向けの書物を執筆したのは、日本固有の法意識、日本人の法意識こそ、私たち日本人を悩ませる種々の法的な問題を引き起こす元凶の一つにほかならないと考えるからだ。 そればかりではない。意識されないまま日本人の心理にべったりと張り付いた日本的法意識は、日本の政治・経済等各種のシステムを長期にわたってむしばんでいる停滞と膠着にも、深く関与している可能性がある。その意味では、本書は、「法意識」という側面から、日本社会の問題、ことに「その前近代的な部分やムラ社会的な部分がはらむ問題」を照らし出す試みでもある。 この書物で、私は、日本人の法意識について、それを論じることの意味とその歴史から始まり、共同親権や同性婚等の問題を含めての婚姻や離婚に関する法意識、死刑や冤罪の問題を含めての犯罪や刑罰に関する法意識、権利や契約に関する法意識、司法・裁判・裁判官に関する法意識、制度と政治に関する法意識、以上の基盤にある精神的風土といった広範で包括的な観点から、分析や考察を行う。 それは、私たち日本人の無意識下にある「法意識」に光を当てることによって、普段は意識することのない、日本と日本人に関する種々の根深い問題の存在、またその解決の端緒が見えてくると考えるからである。また、そのような探究から導き出される解答は、停滞と混迷が長く続いているにもかかわらずその打開策が見出せないでもがき苦しんでいる現代日本社会についての、一つの処方箋ともなりうると考えるからである。
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ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」
ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」
著:坂本 貴志
講談社現代新書
人手が足りない! 個人と企業はどう生きるか? 人口減少経済は一体どこへ向かうのか? なぜ給料は上がり始めたのか、経済低迷の意外な主因、人件費高騰がインフレを引き起こす、人手不足の最先端をゆく地方の実態、年間労働時間200時間減のワケ、医療・介護が最大の産業になる日、労働参加率は主要国で最高水準に、「失われた30年」からの大転換…… 10万部突破ベストセラー『ほんとうの定年後』著者がデータと取材で明らかにする、先が見えない今こそ知りたい「10の大変化」と「8つの未来予測」――。 【目次】 プロローグ――人手不足の先端を走る地方中小企業の実情 第1部 人口減少経済「10の変化」 変化1 人口減少局面に入った日本経済 変化2 生産性は堅調も、経済成長率は低迷 変化3 需要不足から供給制約へ 変化4 正規化が進む若年労働市場 変化5 賃金は上がり始めている 変化6 急速に減少する労働時間 変化7 労働参加率は主要国で最高水準に 変化8 膨張する医療・介護産業 変化9 能力増強のための投資から省人化投資へ 変化10 人件費高騰が引き起こすインフレーション 第2部 機械化と自動化――少ない人手で効率よく生産するために 建設 現場作業の半分はロボットと 運輸 自動運転は幹線輸送から 販売 レジ業務は消失、商品陳列ロボットが普及 接客・調理 デジタル化に伴いセルフサービスが広がる 医療 非臨床業務の代替と専門業務への特化 介護 記録作業から解放し、直接介助に注力する体制を 第3部 人口減少経済「8つの未来予測」 1.人口減少経済でこれから何が起こるのか 2.人口減少局面における社会選択
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