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忍ぶ糸
シノブイト

伊賀・上野は、鈴鹿山脈の麓にある城下町で、組紐の町でもある。千賀は、ここの忍町で生れた、人もうらやむ美しい娘だった。紅い椿の咲く頃、千賀は、組紐屋のしにせ「増住」に織子として雇われたが、そこで増住の一人息子・洋三を知った。これがヒロイン・千賀の愛の始まりであった。やがて、千賀と洋三は、将来をひそかに約束しあうが、家柄が違うことを理由に、洋三の父・大二郎は、下請けの「藤浪」の息子・良作との縁談をすすめた。愛する人との仲を裂かれて、千賀が良作の許に嫁いだ日、花嫁姿の彼女を見た近所の人々は、花が咲いたようだとささやき合った。千賀の悲しい一生の始まりだった。
Ⓒ北泉 優子
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書誌情報
紙版
発売日
1975年12月03日
ISBN
9784061117785
判型
新書
価格
定価:484円(本体440円)
ページ数
207ページ
シリーズ
講談社文庫
電子版
発売日
2021年12月17日
JDCN
06A0000000000307878C