禅のすすめ

マイページに作品情報をお届け!

禅のすすめ

ゼンノススメ

講談社現代新書

禅は、ある意味で宗教を超えている。自然と人生を透視する仏教者の哲学であり、科学的な心身鍛練法であり、また、すぐれた対話法でもある。本書は、禅のもつこれらさまざまな側面を、科学的に解明する。また、他宗教との比較、脳生理学の応用、いくつもの座禅経験などを織りまぜて、禅の全体像を浮き彫りにする。心理学者として、禅の本質を科学と宗教の合一に見、理論的裏づけをもって普及につとめた著者による禅の「実践」のすすめである。

脳波が示す自由な心――精神医学の笠松教授が行なった興味深い実験の報告があります。目を開いて座禅している熟練した坊さんに、15秒ごとにカチッ、カチッという音の刺激をくり返し与えてみますと、何回やっても、脳波の反応にあまり変化はみられないのに、禅の修行を積んでいないふつうの人々に、座禅の状態に近いように目を閉じさせて同じ実験をやってみますと、初めは禅僧には見られないような大きな脳波が認められます。しかし、座禅を長く続けた後には、ほとんど脳波の変化がなくなります。禅の心境は、ものをはっきり認知しながらそれに心をとどめないというのが根本ですが、それが脳波の形で明らかになるわけです。座禅によって生ずるこの澄みきった心こそ自由な心だと申せましょう。――本書より


  • 前巻
  • 次巻

オンライン書店で購入する

目次

●宗教と科学を包む禅
 なぜ禅はふつうの宗教とちがうか
●からだに対する東洋の知恵
 まず第1に静座すること
●禅の科学的真理性
 禅と精神分析学
●西洋人はなぜ禅にひかれるか
 あいまいさのもつ合理性
●禅と日本文化
 剣の達人山岡鉄舟の心

書誌情報

紙版

発売日

1964年12月16日

ISBN

9784061154278

判型

新書

価格

定価:902円(本体820円)

通巻番号

27

ページ数

197ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介

オンライン書店一覧

関連シリーズ

BACK
NEXT