
原稿の書き方
ゲンコウノカキカタ

日本語はゆれている。「わが地所に不可能の文字はない」「献上の美徳あるのみ」と書く学生がいる一方では、「耳ざわりがよい」「乱ペン乱文にて失礼」という表現がまかり通る。現代は、だれもが原稿を書く時代である。しかも原稿が、メモや日記とちがって、他人に見せ、印刷されるものである以上、そこにはルールがあり、よりよい伝達のための工夫がなければならない。本書は、原稿用紙の正しい使い方から文章表現の技術まで、長年の経験に基づくノウハウを公開し、巻末には、現代日本語の標準表記と校正記号一覧を配した現代人のための文章教室。
固有の考えを共通のことばで――慣用句と、情報による発想の画一化に、決まり文句の危うさがある。「疎外」といえば、必ず「歯車」がくる。さらに、「ぎすぎすした」「とげとげしい」「しらけた」という一連の語がつづく。概念的に固定化してしまうと、それだけ自分のものが限定されてしまう。そこから、はみ出ている部分をも包みこむためには、ことばを精密に選ばなければならない。固有の考えを、共通のことばで表現する――それが文章表現の矛盾であり、本質である。――本書より
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目次
●形式上の基礎
原稿用紙の使い方/国語表記の基準
●ことばと文章
「悪文」を書かないために/事実と表現
●文章の解剖
切れない句点/同音異義語
●「読みやすさ」の探求
表現の「姿」/表現の不備
●作品抄
「雪は白い」か/イメージを追う
書誌情報
紙版
発売日
1976年03月23日
ISBN
9784061158337
判型
新書
価格
定価:726円(本体660円)
通巻番号
433
ページ数
218ページ
シリーズ
講談社現代新書