新書東洋史(4)中国の歴史4 伝統中国の完成 明・清

新書東洋史(4)中国の歴史4 伝統中国の完成 明・清

デントウチュウゴクノカンセイシンショトウヨウシ04チュウゴクノレキシ

講談社現代新書

モンゴル帝国・元のあとに生まれた漢民族国家・明は、永楽帝のもとに巨大版図を築きあげる。農村工業の発展は庶民文化を花開かせた。しかし、北虜南倭、宦官の跋扈は次第に帝国を蝕み、女真族による中国最後の王朝・清が中国を征服する。辯髪で強く記憶されるこの国家は、アヘン戦争で敗れるまで長く世界に君臨した。本書は、従来の政治史のみならず、社会経済の新しい動向にも配慮し、中国史が誇る成熟した500年を、ダイナミックに考察し、中国的なるものを見事に解き明かした。

モンゴル親征――永楽帝時代を特徴づけ、またそれが中国史上の1つの輝かしい時代と称される理由は、帝によってくりひろげられた大々的な対外事業にあることは多言を要しないであろう。なかでも最大の事業は、「五出三犂(さんれい)」――五たび砂漠に出で、三たび虜庭を犂す(北虜の本拠を襲う)――といって当時の人々が自讃した永楽帝によるモンゴル族討伐の戦争であった。10世紀以来、北方民族に圧倒されつづけてきた中国人にとって、帝の遠征事業は漢民族の栄光をとりもどす壮挙と感じられたのであろう。しかし遠征の内容はそれほど讃えられるべきものではなかったのである。明帝国にとって北辺防衛は、成立当初から最大の課題であった。太祖は帝国成立と同時に、モンゴル族討伐の軍をおこしたが、全面的に勝利をえたわけではなかった。――本書より


  • 前巻
  • 次巻

目次

●民族国家の復興
 朱元璋の興起
●明帝国の衰退
 とらわれた皇帝
●新しい社会への胎動
 北虜南倭
●満州王朝の成立
 異民族支配の特質
●最後の大帝国
 銀とアヘン

書誌情報

紙版

発売日

1977年05月02日

ISBN

9784061158542

判型

新書

価格

定価:726円(本体660円)

通巻番号

454

ページ数

206ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介