
新書東洋史(6)インドの歴史・多様の統一世界
インドノレキシシンショトウヨウシ

インドの存在はそれ自体ひとつの《大いなる謎》である。民俗・言語から、宗教・民族にわたるまできわめて特異な多様性を見せながら、そこに不思議な統一を保ちつづけているのも事実なのである。本書は、この《多様の統一世界》の解明を経糸に、インダス・ガンジス文明の発生から、イギリス植民地下の苦難と抵抗、戦後社会の矛盾までの時代の変容を緯糸に《神秘》と《貧困》に象徴されるインド史5000年の真実を、新たな視点から明らかにする意欲作である。
多様なるものの統一世界――インド女性のあの艶やかな着物サリーの着付け方一つにしても、地方により、あるいは人々によって、まことに大小さまざまな変化があるといわれるインド。地理的条件はいうにおよばず、民族・言語・宗教・慣習・社会組織などいずれの分野においても、おどろくべき多様性をもったインドは、われわれの住んでいるこの日本のような均質性の高い社会から見れば、たしかに一筋繩では理解できない対象であることには多言を要しないであろう。この多様性は、簡単にいえば、太古以来歴史的に形成されてきたインド文化のその形成のされ方の特徴によるものである、ということができる。――本書より
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目次
●多様なるものの統一世界
●インド史再考
●国家と民衆
●農民の帰属意識
●古典文化の展開
●アショーカ王碑文
●中世世界の形成
●インド史上の南北朝
●インド史における近世の推移
●民族解放運動と独立の現実
書誌情報
紙版
発売日
1977年06月24日
ISBN
9784061158566
判型
新書
価格
定価:770円(本体700円)
通巻番号
456
ページ数
217ページ
シリーズ
講談社現代新書