
新書東洋史(10)朝鮮史―その発展
チョウセンシシンショトウヨウシ

わずか20余年の開国時差から明治維新はかろうじて成功し朝鮮民族は、国家を失う結果となった。古代にあっては、先進文化をもつ多数の朝鮮人が渡来し、日本の古代文化、国家形成に重要な役割を演じ、中世には、独自の発展をとげた高度な文化国家であった朝鮮が、なぜ苦渋の近代史を強いられたのか。さまざまな外圧にもめげず、たくましく生きた朝鮮民衆の生きざまを通して、“近くて遠い国”朝鮮の内在的発展の歴史をさぐる。
三・一運動――1919年3月1日から始まり、およそ1年もの間朝鮮全土をおおった三・一運動は、ひとりの英雄的な指導者によって象徴されるような質のものではない。多くの無名の人々の、もちこたえてきた独立への意志が、ひとつに合流した民衆運動であった。たとえばソウルで学んでいたわずか15歳の女子学生柳寛順は、宣言文を持って故郷の天安に帰り、その土地での行動の先頭に立ち、逮捕されても昂然と正当性を主張して屈せず、拷問のため獄死したことが、いまも語りつがれている。かの女はいわば無数の無名の英雄のひとりであり、運動の象徴なのである。――本書より
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目次
●朝鮮民族の独自性
●前近代の朝鮮と日本
●李氏朝鮮
●変革の機運熟す
●反封建から反侵略へ
●国家は奪われても民族は亡びぬ
●日本による植民地化
●三・一運動
●国内農民運動と抗日パルチザン
●統一と変革への模索
書誌情報
紙版
発売日
1977年10月27日
ISBN
9784061158603
判型
新書
価格
定価:770円(本体700円)
通巻番号
460
ページ数
238ページ
シリーズ
講談社現代新書