英語の語源

英語の語源

エイゴノゴゲン

講談社現代新書

〈王様〉を意味するキング〈KING〉は、血族を示すキン〈KIN-〉から派生し、育ちのよい人間からの連想で〈親切〉を意味するカインド〈KIND〉と語源を同じくしている。その中心にあるのは、〈血縁〉のイメージであり、政治的につくり上げられた連合国家の長、皇帝=エンペラーとは、はっきり分けられる。コルシカ生まれのナポレオンは、皇帝になったが、フランク族のキングになることはできなかったのである。本書は、身近かな単語の語源をさぐりながら、西洋文化の背景を明らかにした出色の文化論。

ワイルドの語源――家畜でない獣は英語でwild animalである。wild(野性の)という単語については、まだ意見が定まっていないが、はっきりした自説を出しているのは、ケンブリッジ大学のW・W・スキートである。彼によればself-willed(わがままな)という意味がwild(古い発音ではウィールド)の根底にあるという。つまり欲する(will)ままに生きている動植物は、すべてwildなものなのである。だからwildは動物にも使うし、植物にも使うし、また人間にも使う。馴らされて(tame)いない状態の動植物を指すのである。また日頃は教養で感情を抑制している人でも、その教養を忘れて暴れることがある。その状態を「荒れた」(wild)という。――本書より


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目次

●語源をさぐる意味
 荘子の洒落/イメージの考古学
●「人間」のイメージ
 土に還るもの/インスピレーション
●女性・生まれ・血統
 ヴェールと角かくし/キングの涙
●自然――生み出す力
 「生まれ」か「育ち」か/天才の語源
●家・パン・領地――家父長のイメージ
 騎士の条件/ロウフとブレッド

書誌情報

紙版

発売日

1977年06月24日

ISBN

9784061158801

判型

新書

価格

定価:748円(本体680円)

通巻番号

480

ページ数

206ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介