
人間にとって森林とは何か 荒廃をふせぎ再生の道を探る
ニンゲンニトッテシンリントハナニカコウハイヲフセギサイセイノミチヲサグル

森林の危機は人類の危機のあらわれだ!
森林の存在は、人間にとってどのような意味があるのだろうか?
単に人間に“役に立つ”という考え方だけで、森林に接していてよいのだろうか?
効用の面からだけ、森林を考えるのではなく、その効用の根源にある生命活動――光合成、生育、更新、そして土壌生成などに、もっと目を注ぐ必要があるだろう。森林の危機は、こうした森林の生命活動が危機に瀕していることを示すものであり、それは同時に人類の危機を示すものでもあるからだ。
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目次
1 森林を見る心
1.森林についての考え方は国によって違う
2.フィンランド人やドイツ人にとっての森林
3.日本人は自然をどのように見てきたか
4.日本人の森林を見る心
2 森林の価値とは何だろう?
1.森林はさまざまな価値をもっている
2.生産資源としての森林
3.環境資源としての森林
4.文化資源としての森林
5.森林の公益的機能をどう評価するか?
3 自然が創る森林、人が創る森林
1.人が深く関わっている森林
2.ブナ林――豊かな山の幸
3.木曾ヒノキ林――人間の知恵の産物
4.カラマツ林――多目的利用への期待
5.アカマツ林――日本人好みの森林
6.スギ林――木材資源の育成
7.雑木林――現代文明への無言の告発者
4 山村の崩壊と森林の荒廃
1.山村社会は変貌した
2.林業離れはなぜ起こる?
3.荒廃する森林
4.森林再生には何が必要か?
5 現代人は森林に何を求めるか?
1.生活環境の保全と森林の存在
2.心身の健康と森林
3.自然保護とはどういうことか?
6 地球の森林に何が起きているか?
1.破壊される熱帯林
2.酸性雨による森林枯死
7 森林を創る技術・育てる技術
1.文化的産物としての森林
2.薪炭林を創る技術――農民によって考えだされた技術
3.有用な木材を得るための森林を創る技術――吉野の育林技術
4.時代に合った技術の開発――多様な森林をめざして
8 歴史の流れで森林をとらえる
1.森林の歩んだ道
9 世界の森林、日本の森林
1.熱帯林
2.暖帯林
3.温帯林
4.亜寒帯林
10 人間にとって森林とは何か?
1.森林とどのようにつき合うか?
書誌情報
紙版
発売日
1989年09月14日
ISBN
9784061327948
判型
新書
価格
定価:990円(本体900円)
通巻番号
794
ページ数
252ページ
シリーズ
ブルーバックス