
〈自立〉の心理学
ジリツノシンリガク

人生はプロセスである。過去のつまずきにとらわれることなく、はかり知れない結果を思いわずらうことなく、自らの人生の主人公として、納得できる自分の生き方を工夫するのが、自立した人間である。自立をうながす場としての家庭、親のあり方を軸に信頼と拒否、依存、現実直視、分離、反抗、グループ・マインド、自由など、自立への条件と着眼点を豊富なカウンセリング体験から提示する。あやまちをおそれず自分を生きよ、と説く自己回復のためのガイド・ブック。
ひとりの自分――人生とは愛の対象からの分離の連続である。つねにさびしさがつきまとうものである。しかし、考えてみれば、このさびしさがあるゆえに、人恋しさもおこるし、人と相和して生きるありがたさもわかるのである。分離の体験がなく、いつまでも母子一体感・親子一体感が続くと、ある日、突然分離せざるをえなくなったとき、パニックに陥る。そこでふだんから、人なかにまじり、人に和しているときでも、自分ひとりの自分を意識する必要がある。孤独を味わう必要がある。しかし、孤独(loneliness)は孤立(isolation)ではない。孤立には日から拒否されている感じがあるが、孤独にはそれがない。孤独とは自立の意識である。――本書より
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目次
●耳学問のすすめ
●ウォンテッド・フィーリング
●つきあい
●現実直視
●分離
●グループ体験
●人生の一大事
●おやじ・おふくろの条件
●ふたつの自由
●「親」と「子」の対話
書誌情報
紙版
発売日
1982年11月18日
ISBN
9784061456747
判型
新書
価格
定価:748円(本体680円)
通巻番号
674
ページ数
199ページ
シリーズ
講談社現代新書