神と仏

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神と仏

カミトホトケニホンジンノシュウキョウカン

講談社現代新書

人は古来、神秘という名の不思議や不安、恐怖にとらわれ、見えない神に祈願を捧げた。6世紀半ば、仏教とともに仏像がもたらされた時、日本人はそこに人間を見、来世を信じた。以来、神と仏は、陰に陽に、いつもわれわれの生活とともにある。肉体から霊魂を救済することをめざす神道、心身一如の状態を理想とする仏教。対照的な2つの宗教と、日本人はどのようにかかわってきたのだろうか。協調、融和、統合の関係を6つの側面からさぐり、日本人のアイデンティティに迫った。

さまざまの場所にいるカミ、ホトケ――古代の人間は、カミやホトケのような存在が、この宇宙空間のさまざまの場所に生息し生活しているのだと考えたとき、ようやく心の平安をえ、自分たちの生活の指針をうちたてることができると感じたのではないだろうか。現世を超越する怒りのカミやホトケ、あるいは山や川や樹木のように、われわれの身辺によりそって加護の手をさしのべてくれる慈愛にみちたカミやホトケが、しだいに一つのまとまりのある世界を形成するようになった。つまり、遠いところに超然としている天空のカミもいれば、近いところに寄りそって立つ地蔵菩薩のようなホトケもいる。そこから、さまざまな性格や属性をもつカミやホトケとわれわれ人間とを結ぶ、多様な遠近感覚が生みだされ、育てられていった。――本書より


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目次

●見えるものと見えざるもの
 特定の土地に定住するカミ/見えるホトケの時代
●媒介するものと体現するもの
 イタコのホトケオロシ/ゴミソのカミオロシ
●死と生/心身の統合
 カミは肉体から脱出したところにある/人間の姿のまま「仏」になる
●崇りと鎮め
 葵上と「もののけ」/菅原道真の「御霊」
●巡りと蘇り
 巡礼の原体験/四国遍路は終わりのない円運動

書誌情報

紙版

発売日

1983年07月18日

ISBN

9784061456983

判型

新書

価格

定価:990円(本体900円)

通巻番号

698

ページ数

209ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介

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