
性格分析
セイカクブンセキコダワリ、アマエ、ウヌボレノシンソウヲブンセキ

神経質な人は、きちょうめんで思慮深いが、小心で苦労性、くよくよ考えこみがちである。いわゆる外向的な人は、明朗活発で行動力にあふれているが、短慮軽率とも評される。性格は一面的にとらえることはできない。態度や行動からレッテルをはるだけでなくその人らしさを形づくっている、内なる心のはたらきを把握しなければならない。自己愛傾向、強迫傾向、自閉傾向、パラノイド傾向など、他者理解と自己分析の手がかりを、臨床例をもとに幼児体験、母子関係の深層まで踏みこんで解き明かし、自分への違和感や悩み、挫折こそが自己理解と内面の成長をうながし、信頼と愛の人間関係をもたらす契機であると説く。
心のバランス――挫折や失敗や症状や問題行動というものが、人間の内的成長の節目、節目に現われてくることから、こうした事柄は、人間がその人本来のあり方からはずれた内的な状態、いってみれば「自己疎外」の状態から真の自己を回復しようとする無意識の作用ですらないかと思われてくる。人間の心は深いところでも、バランスや調和を保とうとする機能をもっているのではなかろうか。であるから、とんでもないことをしでかしたり、症状や問題行動などでみずから悩まねばならなくなった人は、性格傾向も含め、今までの自分自身のあり方を深く検討し、自分に何が必要か、分析してみることが大切であろう。――本書より
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目次
●心のはたらきと性格
人さまざま/心の世界
●自分を見つめる
●競争場面と人間関係
●夫婦という人間関係
●男らしさ・女らしさ
●恋愛関係と甘え
●自己規制の能力
●現実を見つめる
●母子関係と性格
書誌情報
紙版
発売日
1983年09月26日
ISBN
9784061457041
判型
新書
価格
定価:748円(本体680円)
通巻番号
704
ページ数
240ページ
シリーズ
講談社現代新書