CIA

CIA

シーアイエーヘンボウスルカゲノテイコク

講談社現代新書

ニカラグア政府転覆のマニュアル「CIA手引書」が暴露された。「グリーン・ベレー」以来のダーティーな体質ばかりがイメージされる。だが、現実のCIAは、職員1万6千余、予算7億5千万ドル、海外で雇われるスパイ、隠し資金を加えれば、この数倍の規模に達する巨大官僚組織なのである。スパイ衛星をはじめ、偵察機、通信傍受により集められた膨大なナマ情報を整理・分析し、いかに完成品に仕立てあげるかが問われるようになってきた。本書は、海外支局員の報告書作成、山積みになったマル秘文書など日常の姿を描きながら、近代的インテリジェンスへと脱皮をはかるCIAの実像を明らかにする。

本部へのレポート――本部への通信は大別して、「作戦報告」と「情勢報告」の2つがある。刻々と動く現地の情勢をレポートするのが「情勢報告」だ。「情勢報告」は、新聞一面をにぎわすような政変や大事件がない場合でも、最低週1回は作成するのが普通だ。ある工作員経験者によると、とり立てて何も報告することがないまま、週末が近づいてくると、ソワソワ落ち着いていられなくなることもあるという。かといって、何も報告しないと、本部での自分の評価が落ちる。この経験者は「上司にもよるが、質より量が重く見られることがあり、げんに、自分の仲間で、いい加減なレポートを何本も送って出世したヤツもいる」と嘆いていた。――本書より


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目次

●CIAの任務と存在目的
大統領の手足/情報収集のメソッド
●組織と運営
二つのハット=CDI/ザ・カンパニー
●傷だらけの過去
秘密工作の台頭/テクノロジー時代
●スパイ工作
器械の限界/同業他国
●CIA vs. KGB
スパイ調達/対日スパイ戦

書誌情報

紙版

発売日

1985年05月16日

ISBN

9784061457744

判型

新書

価格

定価:704円(本体640円)

通巻番号

774

ページ数

202ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介