ことばを失った若者たち

ことばを失った若者たち

コトバヲウシナッタワカモノタチ

講談社現代新書

一方通行、言いっぱなしの落書きや投書。アニメ・キャラクターに恋する女の子に、少女マンガに夢中の男の子。〈コトバ〉は宙に浮き、〈性〉の臭いは消えていく。「しょせん世の中なんて動かない。そこで楽しくやるしかない」圧倒的な現実肯定と無力感が若者をおおう。コミュニケーションの回路を失った彼らを通して日本社会の変容を分析する。

過剰コード化――コード化が進めば、ファッションでもコードの解読のためのハンドブックたる『ポパイ』、『ホットドック・プレス』や『JJ』が必要になるし、売れる本もハウツー物ということになる。あまりにも約束事が細分化されて、共通の「意味」が成立しにくいからこそ、キーワードや用語解説の書物や雑誌が氾濫することになるのだ。他人が知らないことを知っている、他人が持っていないものを持っているという「差異化」こそ消費社会のイデオロギーだと論じたボードリヤールの著作が翻訳されれば、「差異化」「差別化」は、企業社会の商品開発のコンセプトと化してしまう。すべてが商品(モノ)化されてしまうのである。――本書より


  • 前巻
  • 次巻

目次

●中性的な若者たち
●〈中間文化〉の出現
●遠くへ行きたい
●〈母〉という制度
●〈ことば〉への不信
●「あいまいな境界」の崩壊
●〈モノ〉の支配のなかで
●戯れの時代
●「甘え」からの解放は解放か
●逃げ場という空間

書誌情報

紙版

発売日

1985年09月17日

ISBN

9784061457874

判型

新書

価格

定価:726円(本体660円)

通巻番号

787

ページ数

238ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介