
聖書は何を語っているか
セイショハナニヲカタッテイルカ

「イスラエルの家の失われた羊以外の者にはつかわされていない」というイエスの言葉はユダヤ人のみに向けられたのだろうか。天国とはどんな場所か。パリサイ人とは何者か。羊飼いの貧しさとはどういう状態をいうのか。一見馴染みにくく思われる聖書の言葉は人間存在の根本を普遍性の光で満たしながら生の真理を解き明かしているのである。
自分の貧しさを知る人とは――私が日本に初めて来たのは、第二次大戦直後であつて、日本人は確かに貧しかった。だから思うに、彼らは天国に近かった。また多くの日本人が熱心にイエスの教えに耳傾け、喜んでそれを受け入れた。しかし残念ながら、経済界の繁栄とともに――特に東京オリンピック以来日本人の精神面は衰えたと私は恩う。日本はもはや貧しい国ではなく、アジアにおける――そして世界における――富める国の一つである。だから国民として、天国からは遠のいている。このように言うのは申し訳ないが、言わざるを得ない。――本書より
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目次
●自分の貧しさを知る人とは
●右のほほを打つ人に、なぜ左のほほも向けるのか
●父である神とはだれか
●イエスは詩人であったのか
●有名な放蕩息子のたとえ話
●金持ちと乞食の対照
●善い羊飼い
●十字架の道とは何か
●清貧の理想とは何か
●最後の審判はいつ来るか
●愛の理想とは何か
書誌情報
紙版
発売日
1986年09月17日
ISBN
9784061488281
判型
新書
価格
定価:704円(本体640円)
通巻番号
828
ページ数
200ページ
シリーズ
講談社現代新書