
老荘を読む
ロウソウヲヨム
- 著: 蜂屋 邦夫

「知る者は言わず、言う者は知らず」「朝三暮四」など、多彩な箴言(しんげん)と寓話にいろどられ、二千数百年を生きる「老子」と「荘子」。その深くはるかな知恵は、無心に遊ぶ赤子の姿、天空高くはばたく巨鳥の眼を借りて、欲望と競争に憑かれた人間を嘲い窮まることのない世界に自在に遊ぶ。
老子の「道」と荘子の「道」――大胆かつ奇怪な表現によって、荘子は、世俗世界に生きるわれわれの常識を揶揄し嘲笑し、そして完膚(かんぷ)なきまで叩きのめしてしまうのである。こう見てくると、老子の「道」の思想が宇宙生成論を含み、「道」は天地自然の根底に存している実在のおもむきがあるのにたいして、荘子の「道」は天地自然の変化そのもの、時々刻々にはたらいている活動そのもの、という感じがある。それだからこそ、老子が始源としての「道」に「復帰」することを説くのに、荘子は「天地の一気に遊」び、変化そのものに同化して生きることを説くのである。――本書より
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目次
●老荘の世界に入る
荘子――大鵬の飛嘲……老子――聖人の処世
●老子とは誰か、荘子とは誰か
老子――哲学者か神さまか……『老子』という書物……
荘子――自在なる超越者……『荘子』という書物
●老子――「道」の思想
道は天地万物を生みだす……聖人は道にのっとる……
無為の政治……処世の知恵……格言に学ぶ
●荘子――「解脱」の思想
天籟を聞く……ことばを超えた真実の世界へ……
生を悦ばず死を憎まず……心斎から坐忘へ
書誌情報
紙版
発売日
1987年02月17日
ISBN
9784061488465
判型
新書
価格
定価:770円(本体700円)
通巻番号
846
ページ数
228ページ
シリーズ
講談社現代新書