
日本語をみがく小辞典―名詞篇
ニホンゴヲミガクショウジテンメイシヘン

嵐と颪とはどう違う?紅と朱と茜では?日本語の微妙な二ュユアンスに分け入り、味わい、失語症時代の言語生活を、ブラッシュアップする。
花――生命のほとばしり
もともと「はな」とは、生命の根源である“ものの精髄”がその先端からほとばしり出た命の形象化だ。だから「はな」は時に物の先端を意味し、また、その先端の尖った形(鼻)にも言う。「はなから信じない」と言うあの端もこれだ。茎や枝の先に広がり彩る花も、草木の先端につくものという点で「はな」に違いない。……日本語が意味する「はな」(華)は、ただの「花」とは違う。もっと壮大で、崇高で、造化の神の手になる美と真実の極限とでも言おうか。いや、真の華の精神とは「言わぬが花」なのである。――本書より
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目次
●妻――本家の端に住む怖い人?
妹背/吾妹/妻籠み/北の方/大奥/山の神……
●頭――IQだけでは測れぬ働き
かぶり/尾頭/こうべ/御髪/月代/襟足……
●火――燃え盛る激しさの化身
炎/焔/修羅/燠/埋み火/灯/篝火/松明……
●部分――ものの多様性を見極めて
際/出しな/汀/渚/端/隅/裏年/奥義……
●旅――道・人生とつながる味な関係
膝栗毛/草枕/渡し/旅籠/褥/衾/他生……
●夢――つかのまのこの世に幸多かれと
書誌情報
紙版
発売日
1987年10月19日
ISBN
9784061488731
判型
新書
価格
定価:748円(本体680円)
通巻番号
873
ページ数
242ページ
シリーズ
講談社現代新書