ナルシズム

ナルシズム

ナルシズムテンサイトキョウキノシンリガク

講談社現代新書

-自己愛-(ナルシズム)の心理は誰のこころにも潜んでいる。自己を生かす創造の活力源となる健全なナルシズム、狂気と破滅をもたらす歪められた未熟なナルシズム、過剰な自己顕示、性的倒錯、妄想型神経症など、多くの症例を通して、正常と異常を分かつ、こころの不思議にメスを入れる。

レオナルドにみるナルシズム――フロイトによれば、母ひとりに育てられた子は、母に愛された自分の立場を逆転させて、自分を母の立場におき(同一化という)、自分自身の幼い姿に似た者(少年)を愛の対象とする。すなわら、「いま成人となったレオナルドが愛している子どもたちは、子どもであった彼自身の代理であり更新にほかならないのである」。したがって、過去の自分を愛するということは、幼いときに遡って、自分自身を愛すること、すなわち自己愛におちいったわけなのである。フロイトはこの心理的なプロセスを次のような文章で表現している。「それをわれわれは、彼はナルチシズム(またはナルシズム)の途上で、愛の対象を見出すというふうに表現するのである」――本書より


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目次

●あなたはナルシストか
●モナ・リザの“謎の微笑”
●ナルシズムと同性愛
●シュレーバー博士の奇怪な幻想
●ナルシスト・岸田劉生の体臭
●トーマス・マンと三島由紀夫
●ヒトラーにみるナルシズムの病理
●なぜナルシストになるのか
●自己の発達と自己愛人格の形成
●精神分析的人間観
●ナルシズムの病理と現代社会

書誌情報

紙版

発売日

1987年11月19日

ISBN

9784061488779

判型

新書

価格

定価:704円(本体640円)

通巻番号

877

ページ数

196ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介