ジンギス・カンの謎

ジンギス・カンの謎

ジンギス・カンノナゾ

講談社現代新書

十二世紀、モンゴル高原に英雄が現れた。河西回廊を席巻し、ヨーロッパを震す大遊牧帝国が築かれてゆく。征服の野望はいつ生まれたか。伝説に埋もれたジンギス・カンの出自と死を解き、人間テムジンに迫る。

蒼い狼と白い牝鹿――蒼い狼と白い牝鹿とが天の命令でやってきたとして、その神聖化が行われていることに注目しよう。また『モンゴル秘史』の訳者村上正二氏によれば、「蒼い」(ボルテ)とは灰青色のことであり、「白い」(コアイ)とは「黄味がかった白色」のことをいい、たがいに対応する色であって、ともに聖なる色を表わすということであるから、修辞上からいっても神聖化の意図のあったことは明らかである。神聖な狼と牝鹿の間に生まれた最初の「人間」の名がバタチカンである。この聖なる初子バタチカンがモンゴル部の始祖となった。以上が第一の始祖伝説である。――本書より


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目次

●力の哲学
●モンゴル高原の風土と人々
●世界最大・最強の遊牧帝国
●獣の道――略奪と復讐の構図
●テムジンにとって血筋とは何なのか
●人間の絆1――ヨコかタテか
●タテ社会の掟――ヤサ法
●侵略の論理1――全国支配
●ジンギス・カンの兵法
●ジンギス・カンをめぐる美女たち
●ジンギス・カンの死とモンゴル帝国の栄光

書誌情報

紙版

発売日

1988年07月18日

ISBN

9784061489073

判型

新書

価格

定価:748円(本体680円)

通巻番号

907

ページ数

260ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介