
日本語をみがく小辞典(動詞篇)
ニホンゴヲミガクショウジテンドウシヘン

「さすらう」「いさよう」「たゆとう」……“移動”を表すにも言い分けが必要だ。45の基本動詞から、さかのぼり、派生する、多彩な類語の使い分け。〈動詞〉という鉱脈に、魅力ある日本語を掘り起こす!
知る――対象の全き統括――もともと「知る」は「領る(しる)」で、それをすみずみまで思いのままに支配するという意味だった……そこから、世話をし面倒を見ることにも「領る」が使われ、細かく面倒を見ることは、対象や相手を認識し、じゅうぶんに理解することになるから、今日の「知る」意味も生まれてくる。とにかく存分にほしいままにできる状態が「しる」ことなのだから、逆に、何物かに自分の心が占領され支配されて心の働きが奪われてしまえば、魂が抜けたようになり、馬鹿同然の精神状態に陥ってしまうだろう。「痴れ者」などという「痴れる」がこれで、「しる」の受身形だ。――本書より
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目次
●集まる――集団への欲望
寄る/集う/群がる/屯する/散じる……
●恐れる――人知を超えた力ヘの尊崇
敬う/脅える/怖じける/戦く/よだつ……
●飾る――意識される他人の目
装う/扮する/やつす/めかす/梳る……
●流れる――状況につられた自然の移動
滴る/溢れる/たぎる/逆巻く/ほとばしる……
●読む――リズムを取る基本
数える/語らう/腐す/唱える/息巻く……
●持つ――人間的な、あまりに人間的な
書誌情報
紙版
発売日
1988年10月17日
ISBN
9784061489196
判型
新書
価格
定価:726円(本体660円)
通巻番号
919
ページ数
214ページ
シリーズ
講談社現代新書