カレーライスと日本人

カレーライスと日本人

カレーライストニホンジン

講談社現代新書

インドで生まれたカレーが、いまや日本の食卓の王座についている。日本人はなぜカレーが好きなのだろう。アジア全土を食べあるき、香料のルーツをイギリスにさぐり、明治文明開化以来の洋食史を渉猟した著者が、熱っぽく語ったカレー文化論。

カレーライスは増殖しつづける――大家族用に、大量に作るという戦前の状況にもぴったりであったが、個食といわれる最近の家族の一人一人が好きなものを食べるような状況、もしくは別々に食べざるをえないような状況でも、レトルトパックや、まとめて作ったものを冷凍しておいて、すぐに電子レンジやお湯に入れて簡単に食べられるという適応力のすごさがある。日本人の生活様式がどう変わろうと、それに合致するだけの顔の広さ、多様性を日本のカレーは持ちえたということである。いろいろある西洋料理の一つ、では終わらない個性の強さがあった。何でもカレー粉を入れればカレーになってしまうが、カレーに何を入れてもカレーのままである。カレーは増殖することができたのだ。――本書より


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目次

●辛くないカレーと黄色くないカレー
おふくろの味から外食へ……カレーパンからカレーアイスクリームまで
●インドでカレーを考えた
インド人に日本のカレーを食べてもらおう……日本のカレーのルーツはインドにはない
●カレー粉誕生
カレー粉はイギリスでつくられた……金・銀とスパイス……主役はカレーではなく肉である
●日本カレー繁盛物語
ジャガイモ・ニンジン・タマネギ……カレーライスかライスカレーか……カレーの定番
●日本人はなぜカレーが好きなのか
国民食二大横綱、ラーメンとカレー……大人から予供へ……
カレーライスは増殖しつづける

書誌情報

紙版

発売日

1989年02月15日

ISBN

9784061489370

判型

新書

価格

定価:770円(本体700円)

通巻番号

937

ページ数

228ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介