グリム童話-メルヘンの深層

グリム童話-メルヘンの深層

グリムドウワメルヘンノシンソウ

講談社現代新書

「赤ずきんちゃん」「白雪姫」「ヘンゼルとグレーテル」……。聖書とならんで世界中でもっとも読まれているグリム童話。本書は、現代思想や精神分析の知見をとおし、メルヘンの19世紀的深層を性とエロティシズム、暴力と残虐性、女性などの観点から、あざやかに解いた力作。

グリム童話の新しい面白さ――たとえば、「いつの日か、白馬にまたがったハンサムな王子さまが迎えにくる」という夢を抱いている若い女性は多い。若い女性が理想の男性を夢みるのは当然だとしても、その男性が「白馬にまたがった王子」としてイメージされるのは、メルヘンの影響を抜きにしては考えられない。さらに、そうした理想の男性を自分のほうから探しにゆくのだとは考えず、王子さまが迎えにくることを夢みるのは、やはりメルヘンの影響だろう。問題は、白馬の王子が迎えにくるというイメージが、大古の昔から伝えられた、人間の本質を象徴するイメージなのか、それとも、ほんの200年前にメルヘンに盛り込まれたメッセージなのかということである。ヴィルヘルムがなぜ、どんなふうにメルヘンを書き換えたのかを細かく見ていくことによって、右のような疑問に対する答えを見つけることができるだろう。――本書より


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目次

●グリム童話とは何か
●グリム兄弟とは誰か
●童話成立の背景
●メルヘンのかたち
●メルヘンの意味
●グリム童話をめぐる神話
●グリム童話の面白さ
●性とエロティシズム
●暴力と残虐性
●さまよう「恩知らずの息子」

書誌情報

紙版

発売日

1991年01月16日

ISBN

9784061490345

判型

新書

価格

定価:726円(本体660円)

通巻番号

1034

ページ数

214ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介