宇宙論がわかる

宇宙論がわかる

ウチュウロンガワカル

講談社現代新書

宇宙はどのように始まり、この先どうなるのか。相対論の描く時空、素粒子論の語る宇宙創成、量子力学の説く「真空のゆらぎ」、ホーキングのいう「始めも終わりもない」とは? 宇宙論をやさしくじっくり解説。

宇宙は「真空のゆらぎ」か?――われわれは、古典的な厳密なエネルギーの保存則には、量子力学的な「抜け道」があることを知った。すなわち、ハイゼンベルクの不確定性原理は量子世界の現象に対して、きわめて短い時間内についてはエネルギーのゆらぎを認めるからである。たとえば先ほどの計算によれば、2×20×(-20)乗秒の間に限れば、陽子と反陽子のペアが仮の存在を許されるわけである。電子と反電子ならもっと長い時間存在できる。……真空はわれわれの常識では「何もない所」という意味だが、量子力学によってその概念は一変した。現代物理学においては、真空は決して「無」ではなく、仮想粒子とその反粒子が自発的な生成消滅を繰り返す激変の世界、まさにハルマゲドン(大決戦場)なのである。真空にこそ自然の謎が豊かに秘められている、といっても過言ではないほどである。――本書より


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目次

●夜はなぜ暗いのか
●膨張宇宙の原理
 宇宙は開いているか、閉じているか
●相対性理論の描く時空間
 「光速度普遍の原理」の不思議
●初期宇宙の様子
 対称性の破れによる欠陥――宇宙ひも
●量子力学と宇宙のゆらぎ
 「量子的ゆらぎ」が生むエネルギー
●宇宙の終わり
 ホーキング理論の「時間的ホログラフィー」
●宇宙を考えるとは

書誌情報

紙版

発売日

1991年05月16日

ISBN

9784061490512

判型

新書

価格

定価:726円(本体660円)

通巻番号

1051

ページ数

218ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介