
毛沢東と周恩来
モウタクトウトシュウオンライ
- 著: 矢吹 晋

厳格なる父・毛沢東、寛容なる母・周恩来。最新の資料から、田舎っぺ皇帝と気配り宰相の素顔に迫り、二つの巨星が作りげた中国の社会主義を検証。『天安門』以後を占う。
田舎っぺ毛沢東――毛沢東はなによりも農民の子であった。その生活習慣には、「田舎っぺ」(土包子)くささがあふれていた。たとえば医者ぎらい、栄養剤ぎらい、質素な食事と衣生活などは、青年時代から保持した習慣である。権力をとってからも、毛沢東の生活は非常に質素だった。毛沢東は許可なしに新しい衣服をつくることを許さなかった。現に53年から62年末まで、彼は新しい衣服をつくっていない。いつも水で顔を洗い、化粧石鹸は用いなかった。墨汁や油で手を汚したときは、洗濯用石鹸で洗った。顔クリームなど化粧品もつかわず、いや練り歯みがきさえ用いず、安物の粉歯みがきを用いていた。タオルケットや寝巻はつぎはぎだらけであった。北京入城のさいも、葬式のさいもそうだった。彼の下着やパンツ、それに靴下もつぎはぎだらけであり、ちょっと不注意に足を伸ばすと靴下のつぎはぎがあらわれた。客をむかえるとき、李銀橋らはよくこう注意したものだ。「家の恥を外に見せないようにしなくては」――本書より
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目次
●なぜ今、毛沢東と周恩来か
●厳格なる父、寛容なる母
●師爺としての周恩来
●世紀の悪妻、江青
●ナゾの寧都会議
●火消し屋、周恩来
●ニクソン訪中秘話
●なぜ老人が皇帝たりえたのか
●遺骨は祖国の山河にまくべし
●孫悟空としての毛沢東
●毛沢東は「革命」を理解していたか?
●愚忠をつらぬいた宰相
書誌情報
紙版
発売日
1991年10月16日
ISBN
9784061490703
判型
新書
価格
定価:748円(本体680円)
通巻番号
1070
ページ数
238ページ
シリーズ
講談社現代新書