故事成語

故事成語

コジセイゴ

講談社現代新書

人生禍福のとらえがたさを示す「塞翁が馬」、滅びゆく美しきものを惜しむ「佳人薄命」、政治的心理の恐ろしさを表わす「狡兎死して良狗烹らる」、恋人同志を結ぶ“赤い糸”の出典「月下氷人」。悠久の中国が生んだ風格ある言葉の森を歩き、人生の底知れぬ奥行を読み味わう。

故事成語の国、中国――中国は文字の国といわれているが、ある面ではそれを、故事成語の国といいかえることができるであろう。三千年の久しきにわたって、中国の人々は絶ゆることなく厖大な文籍の山を築いてきたが、それとともにおびただしい故事成語をも生んできた。旧時代の知識人は、文字通り故事成語の洪水の中を泳ぎまわるような生活を送っていたといっていいが、その伝統は今日でもなお脈々と生きており、知識人の条件の一つに、成語を自在にあやつることができるかどうかをあげてもいいほどである。故事成語こそ、まさに中国語の中の精華であり、またおそらく世界の多くの言語の中でも独特の風格をもった、中国語特有のものといえよう。故事成語はまた、いにしえの人々が悩み、苦しみ、喜び、悲しみ、愛し、争った実際生活の中から生まれたものであり、長い歴史の試煉にたえ、無数の人々の共感を得て生き残った中国人の霊魂ともいうベきものである。――本書より


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目次

●桃源郷
●知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ
●三顧の礼
●無用の用
●春は枝頭に在って己に十分
●糟糠の妻は堂より下さず
●一将功成って万骨枯る
●逝く者は斯くの如きか、昼夜を舎かず
●五斗米の為に腰を折らず
●断じて敢行すれば、鬼神もこれを避く
●優游迫らず
●酒池肉林

書誌情報

紙版

発売日

1991年11月18日

ISBN

9784061490741

判型

新書

価格

定価:814円(本体740円)

通巻番号

1074

ページ数

286ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介