
「覚り」と「空」-インド仏教の展開
サトリトクウインドブッキョウノテンカイ

ブッダの覚りとはどのようなものか? 入滅後、部派分裂の中で尖鋭化するアビダルマ哲学。勃興する大乗運動と、中観・唯識による「空」の思想。釈尊から衰亡に至るまでのインド仏教の歩みをたどる。
説法への決意――この梵天勧請の話は我々に、本当に釈尊の教えを聞こうとする覚悟はあるのか、と問いかけてくるものである。釈尊の教えは、世間的な欲望を微塵も充たすものではありえない。我々がふつうあると思い、愛着している自我を、根底から解体せずにはおかない教えでもある。それは、もしかしたら人々を害し、傷つけるかもしれない。むしろ人々の想いにさからい、精神の安定を妨げるかもしれない、そういう教えなのである。それでもあなたは聞きたいというのか、とこの話は我々に、その覚悟のほどを問いかけているものである。――本書より
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目次
●仏教の原点――ゴータマ・シッダッタの目覚め
ブッダの覚りと十二縁起
●部派仏教の展開――アビダルマの迷宮
五位七十五法の世界分析
●大乗仏教の出現――仏教の宗教改革
大乗経典と如来蔵思想
●空の論理――中観派の哲学
ナーガールジュナと『中論』
●唯識の体系――瑜伽行派の哲学
心王・心所の現象学
●その後の仏教――「空」の思想の行方
大乗仏教と日本仏教
書誌情報
紙版
発売日
1992年01月16日
ISBN
9784061490826
判型
新書
価格
定価:792円(本体720円)
通巻番号
1082
ページ数
272ページ
シリーズ
講談社現代新書