
パリの誘惑 魅せられた異邦人
パリノユウワクミセラレタイホウジン

人を駆り立て、人をして語らしめる都市(まち)。革命があり、知識があり、芸術があるパリは、強烈な磁力線を発し、多くの異邦人を吸い寄せてきた。マリ=アントワネット、リルケ、ショパン、ピカソなど、魂を魅了された人々を通して、国際都市パリの醍醐味に迫る。
幻想のパリ――ハイネはベルリンにいられなくなった。おりもおり、フランスから七月革命のニュースが届いたのだ。そのころ彼は、7月の太陽に目が眩んだと言って、知人にこういう調子の手紙を書き送っている。「ぼくは酔い痴れ、無我夢中で、自分もパリへ行きたいと思っている……。ぼくもまた〈革命〉の息子なんだ、聖なる武器へとふたたび手を差し延べるぞ……。ぼくはもう眠れない……。気が違いそうだ!」「ベルリンは嘘で固めた首都だ……。ベルリンの自由主義ぶった偽善者どもを見ると嫌気がさす……。くる夜もくる夜も、トランクの荷拵えをしてパリへ出かけてゆく夢を見ているのさ。あそこなら、澄んだ空気が吸えるだろう……」――本書より
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目次
●王妃の亡霊――マリ=アントワネット
●王妃の恋人――フェルセン
●自然派詩人の青春――ワズワース
●熱月のマドンナ――タリヤン夫人
●パノラマ・アーケード街で――ハイネ
●生の余韻の消え入るとき――ショパン
●政治ドラマの観劇日記――ヒュブナー
●歌え、踊れ、飛び上がれ――オッフェンバック
●パリにあって国を思う――栗本鋤雲、渋沢栄一
●魂の目が見たパリ風景――リルケ
●〈丘〉の住人――ピカソ、梅原龍三郎
●パリ燃やすまじ――コルティッツ
書誌情報
紙版
発売日
1992年07月16日
ISBN
9784061491090
判型
新書
価格
定価:641円(本体583円)
通巻番号
1109
ページ数
250ページ
シリーズ
講談社現代新書