
魔女と聖女 ヨ-ロッパ中・近世の女たち
マジョトセイジョヨーロッパチュウ・キンセノオンナタチ
- 著: 池上 俊一

イヴ=魔女とマリア=聖女。蔑視と崇拝の呪縛のなかで女はどう生きたか。「魔性」と「聖性」をキーワードに中・近世を読み解く。
魔性と聖性――よく知られていないことだが、魔女が誕生し、魔女狩りが盛行しだした中世末から近世はじめにかけては、その美徳と超自然力の行使ゆえに称えられ崇められた聖女も同時に増加したのである。……どうして女性をつぎからつぎへと火刑台にのぼらせるのに必死になっていた時代に、多くの女性が聖女として讃仰されることになったのであろうか。不思議なのは時期がかさなることだけではない。魔女の超自然力と聖女の超自然力をよく観察してみると、非常ににているのである。それは裏返しの関係にある。……一体、ヨーロッパ人は、どうしてかくも極端な女性嫌悪と女性崇拝を並存させることができたのか。そして、それは現実の女性にどんな影響をおよぼしたのか。……本書では、より極端な観点から、ヨーロッパ中世・近世の女性と男女関係を見通してみたい。それは、いってみれば、男の女にたいする偏見の歴史であり、また、その偏見に抗して女がどう生き、振る舞ったかの歴史である。本書のキーワードは、女性の「魔性」と「聖性」である。――本書より
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目次
●魔女狩り
●悪魔学の深層
●男装する聖女
●拒食する聖女
●聖女の恍惚
●母性の勝利
●娼婦とマグダラのマリア
●中世と自由恋愛
●糸巻き棒の福音書
●読書する女
書誌情報
紙版
発売日
1992年11月17日
ISBN
9784061491250
判型
新書
価格
定価:814円(本体740円)
通巻番号
1125
ページ数
254ページ
シリーズ
講談社現代新書