ソクラテスはなぜ裁かれたか

ソクラテスはなぜ裁かれたか

ソクラテスハナゼサバカレタカ

講談社現代新書

有罪とされた哲学者ソクラテスは、どんな罪を犯したのだろうか。その裁判の争点を問い直し、神話的ギリシア世界におけるソクラテスの真の偉大さを考察する。

魂に働きかける──ソクラテスの対話の特徴は、その表現形式や議論の内容にあるよりも、相手の魂に直接的に働きかけて、これを説き指導することにあったように思われる。……ソクラテスにとって、そして実はプラトンにとっても、言葉とは書かれるものではなく、話されるものであった。「話される言葉こそが、魂に裏づけられた言葉である」とプラトンはいっている。ソクラテスは対話する相手を目の前にするとき、その相手の精神がどのような状態にあって、どこを向いているかということを、即座に見抜く透徹した目をもっている。そして、このように相手の存在を確認したうえで、その場に最も効果的な対話を形作る特異な能力をもっている。──本書より


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目次

●古代ギリシア絶頂期の思想状況
 ソクラテスの徳の教え
 アテネの規範の乱れ
●厳格な掟の神テミス
 テミスはどのようにして規範を与えたか
 テミスはなぜ女神なのか
●宗教から思想へ
 ソクラテスは宗教的な存在だった
 テミスからソクラテスへ
 ソクラテスはなぜ処刑されたか

書誌情報

紙版

発売日

1993年12月15日

ISBN

9784061491816

判型

新書

価格

定価:641円(本体583円)

通巻番号

1181

ページ数

238ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介