
幻獣の話
ゲンジュウノハナシ

一角獣から鳳凰、ゴジラまで――。人はどこまで空想の翼を翔かせえたか? 神話・伝説、宗教、芸術が生んだおびただしい幻獣は、何を物語るか? 絶対の美、恐怖の極、珍妙笑止な獣など、人間の華麗な精神絵巻をひもとく。
輪廻転生する幻獣――いたるところに奇妙な生きものがいる。…… ロンドンのウェストミンスター寺院付属の図書室には、この種の一覧表といったものがあり、ベルギーの古都ブリュージュにも、ドイツの古都アウグスブルクにも同様のものがそなわっている。…… 架空の生きものが博物誌から消えるのは18世紀後半以降で、リンネの分類体系にはサテュロスなど若干の生きのこりはあったものの、ビュフォンの『博物誌』にいたり、現実の生物分類から完全に消し去られた。…… おもてだっては地上から姿も消したが、この知的遺産は目に見えない水路によるかのようにして、のちのちの時代につたわっている。しずかに意識の下を流れ、イメージの重なりのなかにまじって、やがてときならぬところにあふれ出る。――本書より
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目次
●一角獣――マルコ・ポーロが見たもの
●アジアとヨーロッパ――幻獣という知の遺産
●神は幻獣を認めない
●エコー――悲しい恋の妖精
●ゴジラ――水爆実験が生んだ巨獣
●サラマンドラ――火の中の竜
●現実と空想、どちらが創造的か
●ブロントサウロス――世界の果ての獣
●百鬼の奇――日本の幻獣
●ゴーレムからロボットへ――20世紀の幻獣
書誌情報
紙版
発売日
1994年02月16日
ISBN
9784061491885
判型
新書
価格
定価:704円(本体640円)
通巻番号
1188
ページ数
200ページ
シリーズ
講談社現代新書