大統領の説得術 人を動かすレトリック

大統領の説得術 人を動かすレトリック

ダイトウリョウノセットクジュツヒトヲウゴカスレトリック

講談社現代新書

レトリックを駆使して、政敵を論破し、政策を訴え、窮地を切りぬける大統領。時に「ほめて殺し」、時に「攻めて守る」説得戦略のすべて。

レトリック的大統領制──レトリック学者のジェームズ・シーザーは、「かつては大統領は大衆レトリックをめったに使わなかったが、現在では大統領が国家を統治する主要な手段の1つとして機能している」と明言する。このような背景から、「語ることは統治なり」(speaking is governing)という神話にも似た伝統が形成されてきた。(中略)大統領選挙運動(campaign)では候補者はレトリックを通して有権者に語りかけ、首尾よく当選して大統領に就任すれば、「何か語らねば」というプレッシャーにさいなまれ、現実のというより、想像上、知覚上の「危機」について語り、大衆のムード、感情に訴えかける。現実には国家危機はないのに、ことばレトリックを通して大統領がいかにも重大な危機が存在するかのように国民の知覚を操作することも可能になる。実際、大統領が軍隊を派兵する決定を正当化しようとする戦争レトリックには、危機の「創出」と「管理」の手法が見え隠れしている。──本書より


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目次

●「ほめて殺す」レトリック
●「攻めて守る」レトリック
●ケネディとニクソンのディベート能力
●「超時間性」のレトリック
●「否定と超越」のレトリック
●分断の戦略
●「逆境の場」を作る戦略
●なぜ人は武器をとるよう説得されるのか
●「擬人化」のレトリック
●「大統領のために嘘をつく機械」

書誌情報

紙版

発売日

1994年03月16日

ISBN

9784061491946

判型

新書

価格

定価:641円(本体583円)

通巻番号

1194

ページ数

228ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介