
恐竜ルネサンス
キョウリュウルネサンス

北極を中心に恐竜は「渡り」をしていた。温かい血や羽毛をもち、子供の世話をし、敏捷に動き集団で狩りをする新しい恐竜像を、世界的権威が日本人読者に向けて書き下ろす。
渡りをする恐竜たち──極地の恐竜化石は、カナダのユーコンと北西地方や、シベリアでも発見されてきた。……極地域は中生代には、今日よりもずっと暖かかったけれども、冬のあいだはなお暗かった。このため植物は休眠中となって、大きな植物食恐竜が食べるに充分な食物はなかったであろう。……ハドロサウルス類、角竜類、ティラノサウルス類は、食物が冬中もっとたくさんあった低緯度の土地へと移動した。……ハドロサウルス類は、北極の夏で豊富な食物源を利用するために、春になると群れを作って北進した。その地で彼らは秋が来るまで分散したであろう。秋には、近づいてくる完全な暗やみの時期が、たいていの植物に冬の休眠状態に入ることをうながした。そこでハドロサウルス類は、再び集まって群れをなし、冬中食物を得ることができる地域へと南下したのだろう。長い移動は1年のうち4ヵ月を占めたかもしれないが、ハドロサウルス類は長い脚をもち効率的に歩いたので、十分可能であった。──本書より
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目次
●恐竜発掘の現場から
●恐竜はどこまでわかったか
子供とおとな、オスとメス
●恐竜はどのように生きていたか
恐竜の病気
なぜ群れを作ったのか
●恐竜は絶滅したのか
●日本の恐竜
●恐竜研究の未来
●恐竜はどこで見られるか
書誌情報
紙版
発売日
1994年06月16日
ISBN
9784061492059
判型
新書
価格
定価:908円(本体825円)
通巻番号
1205
ページ数
326ページ
シリーズ
講談社現代新書