「水滸伝」を読む

「水滸伝」を読む

スイコデンヲヨム

講談社現代新書

水沢の要塞・梁山泊に集結した108人の個性豊かな英雄豪傑たちの活躍を描き、ながく読みつがれ、民衆の支持を得てきた大河小説の面白さを史実と虚構の間から読み解く。

ひとり者の世界――『水滸伝』には多くのひとり者が登場する。そして、かれらがおんなに興味をもたないことを潔しとする調子で話が進む。これは現実の反映であろうか。都市化が顕著になると、流入者がふえる。かれらのなかには、多くの“一旗組”がいたであろう。それまでの自らの生活を放棄して、都市で一旗あげるのにかけた者たちである。かれらは、それゆえに、自らを自らの所属する組織から切り離したものたちである。そして、これは、当時の都市、否、当時の社会で生活していたもののかなりの家族組織が崩壊していたことを示すのではないか。おんなに興味をもたないのは、潔いのではない。かれらが家族を構成していないからである。――本書より


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目次

●国中の国
 梁山泊の組織
●旅をするひとびと
 巡礼に姿を変える
●血縁と非血縁のひとたち
 ひとり者の世界
●特異な武芸者たち
 武器としての身体
●沸き立つ銭の世界
●『水滸伝』と『南総里見八犬伝』

書誌情報

紙版

発売日

1994年08月11日

ISBN

9784061492158

判型

新書

価格

定価:694円(本体631円)

通巻番号

1215

ページ数

210ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介