江戸語・東京語・標準語

江戸語・東京語・標準語

エドゴ・トウキョウゴ・ヒョウジュンゴ

講談社現代新書

武家と町人、山手と下町、標準語と方言。話しことばは時代を映す鏡であった。何がことばを変えてきたのか?江戸開府から明治を経て現代まで、日本語を通してたどるもうひとつの近代史。

「おっかさん」と「おかあさん」――国定教科書に採用されたことばの特徴的な例として「おかあさん」の場合を見てみよう。現在「母」をあらわすことばとして、最も一般的に使われているのは「おかあさん」だろう。しかし、この言い方は、少なくとも明治初期の関東以北にはなかった。幕末の日本語と英語を対比させたアーネスト・サトーの『会話篇』、ヘボンの『和英語林集成』でも、motherに対する日本語として挙げているのは、「はは」「ははさま」「母堂」「御母堂」「おっかさん」「おふくろ」で、ここには「おかあさん」ということばは出てこない。(中略)それなのに、なぜ、当時の国定教科書は「おっかさん」を捨てて「おかあさん」を採用したのだろうか?――本書より


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目次

●江戸ことばとは何か?
●武家ことばと共通語
●江戸ことばから東京語へ
●明治初期の山手ことば、下町ことば
●東京ことばと標準語
●関東大震災と東京の変貌
●標準語の普及とラジオ放送
●アナウンサー公募とその教育
●変わりゆく東京語と標準語
●今、標準語を考える

書誌情報

紙版

発売日

1994年08月11日

ISBN

9784061492165

判型

新書

価格

定価:726円(本体660円)

通巻番号

1216

ページ数

230ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介