
統合ヨ-ロッパの民族問題
トウゴウヨーロッパノミンゾクモンダイ
- 著: 羽場 久子

ユーゴ内戦、チェコスロヴァキア分裂、国外ハンガリー人をめぐる国境問題…。「ヨーロッパ統合」へと向かう冷戦後の世界で、なぜ旧東欧は解体を続けるのか。「民主化」「市場化」を果たしEUに加盟する日は来るのか。「統合」「ヨーロッパ回帰」をキーワードに、民主問題の本質を探る。
「ヨーロッパ回帰」をめぐる3つの動き――1989年の東欧の体制転換以降、東欧においては3つの動きが象徴的に現れている。1つは、「中欧」の再編である。これは、「東欧」に代わる歴史的「中欧」理念の再興とともに、EUやNATOへの足がかりともなるさまざまな中欧の地域協力の成長というかたちで現れている。2つめは、民族問題の新たな成長である。現代東欧の民族問題は、歴史的な民族問題の再生という以上に、「民主化」「市場化」に象徴される政治的・経済的な発展と、国境修正を含む「国民国家」の枠組みの再調整の流れのなかで現れてきている。3つめは、EC/EU、NATOへの接近である。これをいうまでもなく、現在信仰中のヨーロッパの経済・市場統合、安全保障の統合的システムへの参入ということであろう。これらは全体として、「ヨーロッパ回帰」をめぐる一連の動きとしてとらえることができよう。――本書より
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目次
●「民族」とはなにか
近代はなぜ「民族」を生んだか
●ドナウ連合はなぜ失敗したか
●民主主義は根づくか
4度目の挑戦
●「中欧」再編はなるか
「分裂」の前に「統合」があった
●民族問題はなぜ起こっているか
脱民族主義へ
●「ヨーロッパ回帰」は可能か
書誌情報
紙版
発売日
1994年09月16日
ISBN
9784061492189
判型
新書
価格
定価:792円(本体720円)
通巻番号
1218
ページ数
250ページ
シリーズ
講談社現代新書