
「怪談」の心理学
カイダンノシンリガクガッコウニウマレルコワイハナシ
- 著: 中村 希明

怪談はどこに生まれ、どう伝わるのか。トイレのハナコさん、こっくりさん、金縛りなど、学童たちの間に発生し広がってゆく「霊現象」のルーマーをめぐり、心理・生理・社会病理的に縦横に考察する。
すぐれたコント――芸術家は自分の感動を小説や絵画、音楽などに表現する。しかし、こうした自己を表現する才能もなく、また、最近流行の自分史や、短歌や俳句を修業するだけの根気もない団地の主婦たちは、近隣のうわさ話に浮き身をやつす。一方、未来の主婦である女の子たちは、大人以上に目を輝かせて学校のうわさ話、とりわけこわい話に熱中する。つまり、「学校の怪談」の伝承者である学童たちは、めいめいが自分の聞いた話に新しい創作を付け加えて、その伝達の話を広げていく。その世界では、よりもっともらしい、刺激的なディテイルを物語に付け加えた伝承者が子供仲間のヒーローになれるのである。――本書より
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目次
●トイレの怪談の系譜――デマの心理学
「トイレのハナコさん」
●「こっくりさん」の系譜――筋自動運動と集団催眠
筋肉の不随意運動が起こす自動現象
●新しい学校の怪談「金縛り」――睡眠の異常心理学
睡眠相後退症候群と金縛り
●感覚遮断がつくる幻覚――密室の異常心理学
ハイウェイ・ヒプノシス
●口裂け女の系譜――ルーマーの社会病理学
●社会変動とルーマー
書誌情報
紙版
発売日
1994年10月17日
ISBN
9784061492233
判型
新書
価格
定価:694円(本体631円)
通巻番号
1223
ページ数
220ページ
シリーズ
講談社現代新書