江戸の遊里盛衰記

江戸の遊里盛衰記

エドユウリセイスイキ

講談社現代新書

日本の裏面史に閉じ込められた遊女たちの声。暗く湿った〈郭〉のイメージに隠された真実。北は能代から南は那覇まで、往時の賑わいの痕跡と遊女たちの秘められた物語を掘り起こす歴史紀行。

刻まれた歴史――私は、人知れず忘れられた小さな遊里をおもに取り上げることにした。田舎に行けば行くほど、人々は遊里の過去を忘れようとしていることも事実である。しかし、狭い地域であればそれだけ、その地に刻まれた歴史を大切にしようとする人たちがいるのも事実である。石川県小松の串茶屋には、遊女墓を清掃する町内会の人たちがいる。近年、茨城県潮来や秋田県院内鉱山の跡地には、新しく遊女墓が建った。青森の県鰺ヶ沢には、遊女墓に遊女とともに埋葬された花魁人形を手厚く供養する人たちがいる。瀬戸内海の小島には、遊女たちの悲哀を胸の奥底にたたみながらオチョロ船の復元に意欲を燃やす大工さんがいる。……忘れられようとしている遊女たちのことを忘れてはならないと感じている人々の思いを、記しておきたいとも思った。――本書より


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目次

●忘れられた遊里を訪ねて
●江戸時代の地方遊里
●港に集められた女たち
●地蔵とお女郎さん
●遊女たちの面影
●水戸藩の遊里
●山の自由に群がった人々
●鉱山遊女町のできるまで
●遊女の墓
●女たちの自治

書誌情報

紙版

発売日

1994年10月17日

ISBN

9784061492240

判型

新書

価格

定価:694円(本体631円)

通巻番号

1224

ページ数

230ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介