折口信夫を読み直す

折口信夫を読み直す

オリグチシノブヲヨミナオス

講談社現代新書

民俗学・芸能史・国文学に独自の学説を立てた折口信夫。鋭い直観から生まれたその理論の魅力と欠陥は?まれびと・依代・他界などの名彙をほぐしつつ折口学の体系を検証する。

永久運動型の理論形式──まれびとの論とのかかわりのなかに形成されていった理論は、文学や芸能の発生の問題だけではない。主なものにかぎっても、常世からおとずれる神のよりつく場所から依代の論が生まれ、神が老人の姿をしていることから「翁」の誕生にたいするかれの考えがととのえられる。神の原郷である常世の論がふかめられて「妣が国」の華麗な幻想がつくりあげられている。また、神のあの世からのおとずれの旅が道行となり、原郷でおかしたあやまちのために人間界をさすらう神の辛酸の旅の記憶が、貴種流離譚という物語のパラダイムに結晶させられている。──本書より


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目次

●まれびとの誕生
●2群にわけられる来訪神
●翁の発生
●白と黒の対比が意味するもの
●日の神を象徴する髯籠
●依代の3つの機能
●あくがれ出る魂と入り来る魂
●天皇霊論の展開
●折口の「あの世観」は独創的か
●日本人の他界観

書誌情報

紙版

発売日

1994年12月16日

ISBN

9784061492301

判型

新書

価格

定価:694円(本体631円)

通巻番号

1230

ページ数

202ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介