スウェーデンボルグの思想

スウェーデンボルグの思想

スウェーデンボルグノシソウカガクカラシンピセカイヘ

講談社現代新書

時代を先取りした宇宙論や大脳観の先見性。夢や幻視体験から得られた、独自の霊界論と、普遍宗教への希求。18世紀スウェーデンの天才の、科学と神秘をかけ渡す思想を概観。

普遍宗教への道──スウェーデンボルグの教説は、あまりに平明・直截なので、肩透かしを食ったような感じを抱かせるかもしれない。それは実際、ごく常識的な宗教であり、道徳である。こうしたあたりまえの宗教の価値は、独善・偏見・排他といった、宗教が陥りがちな歪んだ側面によって傷ついた者に、いちばんよく分かるであろう。スウェーデンボルグの宗教が素朴すぎてつまらないと考える人がいるとしたら、その人は彼にオカルト的なものを期待しすぎているか、宗教や信仰の本質を神秘的なものと思い込んでいる人である。……彼の伝統的キリスト教への批判は、ゆきすぎと思えるほど苛烈なものだったが、それは、善や愛の価値を低めて無にまで貶めようとする、あらゆる偏狭な信仰や教説を嫌悪したがゆえである。彼の説く普遍的な宗教の原理をひとことで示す、彼自身の有名な言葉がある。「宗教はすべて生命に関わるものであり、宗教の生命は善を行なうことにある」──本書より


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目次

●天国の鉱山技師として
●「原理論(プリンキピア)」の原子論と宇宙哲学
●解剖学と霊魂探究
●「天界の秘義」の出版
●死と死後の世界
●「創世記」を読み直す
●神、宇宙、人間
●真のキリスト教の復元
●カントによる千里眼批判
●異端裁判と予告した死

書誌情報

紙版

発売日

1995年01月17日

ISBN

9784061492356

判型

新書

価格

定価:694円(本体631円)

通巻番号

1235

ページ数

232ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介