
メルヘンの深層
メルヘンノシンソウレキシガトクドウワノナゾ
- 著: 森 義信

シンデレラや赤ずきんちゃんの物語から魔女裁判、人間狼、子捨てなど、ヨーロッパ社会の忘れられた実像が見えてくる。
白雪姫と魔女裁判――白雪姫と王子の結婚披露宴に招かれた継母は、炭火で赤く熱せられた鉄製の靴をむりやりはかされ、死ぬまで踊らされたということです。継母が熱い鉄の靴をはかされた理由は、魔女として魔術をおこなったということでしょう。16、17世紀の西欧世界では、魔女や異端の審問をおこなう当局が、密告や告発を奨励するあまり、子供の証言をも得ようとして、証言能力についての年齢制限を撤廃しています。ですから年少の娘や息子が母親を魔女として告発することなど、珍しいことではありませんでした。私はむしろ、いささか虚言癖があって被害妄想の女の子が、母親の真意を曲解して魔女裁判に追いやった物語として、このメルヘンを解釈したいと思います。――本書より
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目次
●長靴をはいた猫
●シンデレラ物語
●白雪姫と魔女裁判
●赤ずきんちゃんと人間狼
●ヘンゼルとグレーテルの社会学
●ジャックと豆の木
●がちょう番のおんな
●3枚の蛇の葉と傭兵の出世物語
●いばらのなかのユダヤ人
●青ひげ物語としたたかな女
書誌情報
紙版
発売日
1995年02月16日
ISBN
9784061492387
判型
新書
価格
定価:704円(本体640円)
通巻番号
1238
ページ数
198ページ
シリーズ
講談社現代新書