
修道院
シュウドウインキンヨクトカンソウノチュウセイ
- 著: 朝倉 文市

神を想い、清貧に徹し、労働を重んじる――中世社会に影響を与えた修道院の活動の理念を軸に、その起源と展開を辿る。
回廊にて――回廊こそは、修道士たちの日常生活の場であり、家にたとえていえば、さしずめ居間というべきであろうか。中庭には、決まって泉水があり、修道士たちは、手を洗い、顔を洗い、口を漱ぎ、足まで洗ったであろう。回廊はまた、いろいろの機能を持つ。まずは、歩きながら聖書を読む。つまり、歩道であると同時に、読書の場でもある。そして、黙想や瞑想の場でもあった。また写本をする写字生の仕事場でもある。また、時と場合によっては、談話室に早がわりすることもある。あるいは、聖歌の練習の場にもなる。(略)回廊は、その四辺から楽園の四つの川(ピション・ギホン・チグリス・ユーフラテス)、四人の福音史家(マタイ・マルコ・ルカ・ヨハネ)、四つの枢要徳(賢明・正義・剛毅・節制)を思い起こさせ、神の国はこんな場所ではないかと想像されていたらしい。――本書より
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目次
●禁欲の起源
●殉教から修道制へ
●東方修道制の夜明け
●西方修道制の始まり
●「聖ベネディクトゥス戒律」の普及
●改革修道院クリュニー
●修道士の日常生活
●源泉への回帰
●シトー会の誕生
●托鉢修道会の出現
書誌情報
紙版
発売日
1995年05月17日
ISBN
9784061492516
判型
新書
価格
定価:748円(本体680円)
通巻番号
1251
ページ数
254ページ
シリーズ
講談社現代新書