
流通列島の誕生
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庶民層の需要が高まるにつれ、江戸期270年の間に流通網は発達し、政治の世界をも動かした。江戸期の商品流通を分析。
横のつながりを生む流通――荘園制の社会では貴族・寺社の生活物資が強制的に年貢として徴発されたのであるが、米・貨幣を庶民層からとりあげ、領主層が家禄として分配するため、年貢米をほとんど貨幣に変えねばならなたかった江戸時代は領主層も流通に関心をもつ必要があった。なお、庶民層は農民・町民すべてが自ら働き、諸物資の生産・流通を行ったのであって、そこでは階層間の差はあれ、横のつながりが重視されたのである。その意味で、社会の大多数を占めた庶民層の需要にもとづく流通は、270年ほどの江戸時代の間に大きく変化し、武士が握っている政治の世界をゆり動かす力にもなっていったと思われる。私はこの横のつながりとして流通の問題をとりあげてみたい。――本書より
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目次
●都市の時代
●なぜいま「近世の流通」か
●点と線の商品流通
上方と取引の状況
●商人たちの転身・消滅
十組の分裂
●網の商品流通
本店の機能
●面の商品流通
大名相手から庶民へ
書誌情報
紙版
発売日
1995年11月16日
ISBN
9784061492615
判型
新書
価格
定価:694円(本体631円)
通巻番号
1261
ページ数
180ページ
シリーズ
講談社現代新書