フランス現代哲学の最前線

フランス現代哲学の最前線

フランスゲンダイテツガクノサイゼンセン

講談社現代新書

「体系」が放棄され、「普遍的真理」が疑われる今、フランス哲学は複数的な真理の領域の再構築を試みる。人文社会科学・自然科学・芸術の問いかけと結びつく哲学的議論の現状を紹介。

結語──現代の哲学は、特殊で多様だが、批判的であり続けている。だが、この批判は内的なものであり、もはや社会の外部にある理想に支えられてはいない。全体主義、科学という宗教、精神病院の実態などについての批判によって、ある種の真理の効果が生みだされたのだが、それは理想の世界の分析という名の下においてではなく、いまそこにあるものの理解という名の下においてなのだ。本書でみてきたように、技術、監獄、生命倫理、エコロジー、市民権などを検討することによって、まったく外部にあるものや失われた過去へのノスタルジーなしに、存在論の重心を移動させることができるのである。現在の哲学の仕事のただなかにおいてこそ、たえず新たな間道が開通するのだ。そしてこの特異な間道によって、意味の問題が立て直される。──本書より


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目次

●歴史学・人類学・地理学と哲学
●美学と芸術
●構造と構造主義
●権力と欲望
●ポストモダンとシミュラークル
●言語、問題の分類、そして脱構築
●社会学・法学と哲学
●科学と哲学
●民主主義と自己制度化
●主体の問題

書誌情報

紙版

発売日

1995年07月17日

ISBN

9784061492639

判型

新書

価格

定価:801円(本体728円)

通巻番号

1263

ページ数

310ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介