
ウィ-ン・ブルジョアの時代から世紀末へ
ウィーン・ブルジョアノジダイカラセイキマツヘ
- 著: 山之内 克子

環状道路(リングシュトラーセ)建設を機に急激に近代都市へと変貌したウィーン、そして19世紀末へと至る転換期に経済・文化の中核を新たに担った市民たちの「日常」を復元する。
市民的価値の代弁者──建物の建築作業が進むにつれて、リングシュトラーセという呼称は、単なる環状道路としての意味をこえて、この道路の両側に構築されていった都市空間を指す、一種の固有名詞として使われるようになった。とりわけ市民たちにとって、この新しい市街区は、合理主義、能力主義、企業家精神などの、市民的価値と理想そのものの象徴となり、ここに暮らすことは、やがて、社会的なステイタスを意味するようにさえなったのである。……リングシュトラーセの建築主たちは、豪華なアパートメント・ハウスを通じて、市民のだれもが抱いていた理想をウィーンの社会全体に華々しくアピールして見せた、まさしく、市民的価値の代弁者だったのである。──本書より
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目次
●近代市民階層の誕生
●市民階層とリングシュトラーセ
リングシュトラーセの建築主たち
●ウィーン市民と貴族、そしてハプスブルク家
美神による融和
●十九世紀都市生活の光と影
ドナウ河治水工事と高山泉上水道施設
●ウィーン市民の日常生活
カフェ・ハウス/避暑旅行/フェライン
●近代市民階層の没落
書誌情報
紙版
発売日
1995年11月16日
ISBN
9784061492769
判型
新書
価格
定価:694円(本体631円)
通巻番号
1276
ページ数
222ページ
シリーズ
講談社現代新書